備えを凌駕する災厄

 3月11日午後2時46分、東北地方太平洋沖地震が発生した。観測史上最大のマグニチュード8・8を記録。太平洋に面した当県にも大津波警報が発令され、12日正午現在、まだ解除されていない。本稿を書いているいまも、東北・関東を中心に報告される被害状況は刻一刻と変わっており、胸の痛む数字が発表され続ける◆テレビのニュースで報じられた、東北地方を襲った大津波の映像。その恐ろしさには、心底からの戦慄を禁じ得なかった。ぐんぐんと寄せてくる大海のうねりが、海岸から内陸部にまで迅速に入り込み、巨大な布のように田畑の上を走る。道路を越え、自動車を飲み込み、家屋を押し流す。「太平の海」というその名を裏切り、いとも簡単に人の営みを壊していく。悪い夢のような映像だ◆さらに、火災、原発の放射能漏れの危険と、2次災害への恐れが安全の復活を脅かす。小さな列島が、地球の大規模な活動の前になすすべもなく翻弄されている。その画面に、これは当県から遠く離れたよその地域の出来事ではなく、我々の大事な国に襲いかかった未曾有の危機として捉えなければならない、その思いを共有しなければならないとひしひしと思わせられた◆時間の経過とともに、甚大な被害の様相は次第に明らかになる。東北地方では日頃の備え、心構えをはるかに凌駕する形で災厄は突然もたらされた。惨状に胸が締めつけられる。いまこの時に求められるのは、正確な判断ができるよう冷静であること、情報を正しく入手することだろうか◆このあまりにも大きな傷が癒え、すべてが平常に復するのはいつのことだろう。平穏の、何事も起こらない日常の風景の尊さを骨身に沁み入るように感じながら、画面をずっと凝視している。  (里)

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