奥深い能面の世界

 きのくに信用金庫御坊営業部ロビーで、4日まで面打ち工房烏竹会(うちくかい)の作品展が開かれている。日高町の井元烏竹(本名・輝明)さんの指導で昨年春に発足。今回は井元さんを含め5人が26点の作品を出展している◆展示をじっくり見て、一口に「能面」といってもこれほど種類があったのかと感じ入った。一般的に能面ときいてまず思い浮かべる女性の面「小面(こおもて)」、女性の嫉妬の形相「般若(はんにゃ)」、壮年の武将「平太(へいだ)」、平敦盛戦死の年齢に由来する青年の面「十六」、老夫婦の「高砂」などがずらりと並ぶ。会員に取材し、細かく分けると能面には約300も種類があるときいて驚いた。女性の面でも、小面だけでなく多くのバリエーションがあるのだ◆能面のような、というのは無表情な顔によくつけられる形容であるが、一つの面は物語の場面に応じてさまざまな表情に見えなければならない。小面(こおもて)は仰向くと喜びを表し、うつむくと悲しみを表すという。実際、見る角度によっては笑ったようにも見える。無表情のようで、実はあらゆる表情の要素を内に含んだ顔といえるかも知れない。制作に当たっても「小面は基本だが、最も奥深く難しい」そうだ◆面を制作することを「面を打つ」という。木彫りなのになぜ「彫る」とは言わないのか不思議で、インターネットで調べてみたが答えが見つからない。一人分の人格を作品の上に打ち出すことの重さが、「打つ」という表現には込められているのだろうか◆能面を作品として間近に鑑賞できる機会はあまりない。あと3日だが、足を運んでみていただきたい。    (里)

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