シリーズ 「うつ病」 (終)  周囲の人にできること

1-12.jpg うつ病は、まじめで几帳面、責任感が強い、完璧主義などという性格の人がなりやすいといわれる。これらのタイプに当てはまる人は、自分からは「休ませて」と口にしない人が多いが、周囲の人も日ごろからコミュニケーションができていれば、元気がない、表情が暗い、ミスが目立つなどのサインに気がつく。シリーズ「うつ病」の最終回は、だれもがかかる可能性のあるうつ病を予防するため、御坊保健所の精神保健福祉相談員、大原弘之さん(31)に、実際の相談事例からみた病気の初期症状、適切な対応の仕方などについて話を聞いた。
 うつ病は、脳内の神経伝達物質の減少によって思考や感情が鈍くなる病気で、いわば、脳のエネルギーが枯れてしまう機能的な症状。▽気分がすぐれない▽好きなことも楽しめない▽さびしい、悲しいといったこころの症状のほか、▽疲れやすい▽眠れない▽食欲がないなどの体の症状が重なる。几帳面で責任感が強いという人が無理をしすぎて発症するケースも多く、これらのタイプの人は体がつらく気分がすぐれないときも、自分からはなかなか「休みたい」と口にしない。
 
 ■適切な治療で必ず治る うつ病という診断を受けても、初期であればカウンセリングやしばらく休養するだけで治り、重度の人も十分な休養と服薬で焦らず適切に治療すれば必ず治る。そのためにも家族や同僚ら周囲の人が早期に症状に気づき、医師や保健所、役場の保健師らに相談するよう勧め、休養をとらせることが重要だ。
 
 ■表情や行動の変化に注意 病気を疑うサインとしては、▽元気がない▽表情が暗い▽外出をしなくなる▽遅刻や欠勤が増える▽ミスが目立つなど。家庭の主婦であれば、テレビを見たり友達とおしゃべりをしたり、本来好きなことがおっくうになるのも特徴的な変化。こうした変化が出始めたとき、周囲が気づかなければどんどん病気が進行し 早期に気づいて対応してやれば治るまでの時間も短くてすむ。
 ■相談電話はほとんどが家族から 大原さんによると、相談の電話をかけてくるのは患者本人ではなく、両親や夫、妻ら家族が多い。本人からの場合はほとんどが匿名で、本当に疲れきっている人と、それほど疲れてはいないが、さびしさから興味をひきたい気持ちの方が強い人に分かれる。また、あきらかにうつが疑われ、「死にたい…」と口にし、その方法を具体的に示す場合は危険で、共通の話題などから名前の一部や住所を聞き出し、場合によっては直接会いに行くこともある。
 ■不眠は2週間以上続いているか 身体的な変化では、不眠が続くのも特徴的な症状。また、症状を引き起こすきっかけとしては失業、肉親の死、借金などがあり、これらの強い精神的ストレスはだれでも一時的に抑うつ状態に陥るが、うつはそこから抜け出せない状態。大原さんによると、「眠れない」という訴えも2、3日であればまず大丈夫で、うつを疑うには2週間以上続いていることが1つの目安になるという。
 ■日ごろからコミュニケーションを 患者の変化に気づくためには、相手の「ふだんの状態」を知らなければならず、ふだんの状態を知るためにはたまに一緒に飲みに行ったり、最近は減っているといわれる上司と部下のコミュニケーションも重要になる。大原さんは「あれ? 最近、あいつ(あの子)ちょっとおかしいなと思ったら、まずは本人に『ちょっとしんどそうやね』『疲れてない?』などと声をかけてあげてください。また、本人が否定する場合はその人の上司に相談したり、家族に話を。うつ病は専門的な治療を早めに受けることが大切です」と話している。  (おわり)
 
 

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