シリーズ 「うつ病」 ⑨ 御坊保健所

11-5.jpg うつ病と深くかかわりがあるといわれる自殺。全国では年間3万人以上が自ら命を絶っており、厚生労働省は自殺・うつ病等対策プロジェクトチームを設置し、自殺の予防やうつ病の早期発見・治療につながる対策を推進している。御坊保健所(野尻孝子所長)は日常の相談業務のほか、こころの健康づくりの絵本や紙芝居、パンフレットをつくって啓発に力を入れている。
 全国で年間3万人以上いる自殺も、適切な対応でこころの健康を取り戻すことにより、防ぐことができるといわれている。対策としては1次予防(プリベンション=啓発や教育による自殺の可能性の低い段階での予防)、2次予防 (インターベンション=現実に起こりつつある危機に介入して自殺を防ぐ)、3次予防(ポストベンション=自殺してしまった場合の遺族や命をとり止めた人のケア)の3ステップが基本。御坊保健所は1次予防の一環として、高齢者向けの手作り紙芝居や絵本、 パンフレットづくりなどを進めている。
 ■原作は鳥取県日南町の紙芝居 紙芝居は、鳥取県日南町のこころの健康づくりネットワークが作った高齢者の自殺(うつ)予防の啓発用紙芝居が原作。御坊保健所はこの取り組みに関する情報を得て、日南町に同じ紙芝居を作りたいという話をしたところ、タイトルやストーリーの転用が許可され、絵の上手な女性職員が絵を描き、せりふは分かりやすく日高地方の言葉に変え、平成20年度に完成した。
 ■励ますことは逆効果 タイトルは 「ポンポコ山の聞き耳ずきん」。ある日、若い男性が山で赤いずきんを拾い、それをかぶると、鳥やタヌキのしゃべっていることが理解できるようになる。タヌキは最近、村のおじいさんやおばあさんの姿が見えなくなったといい、男性はポンポコ山のじいさんが亡くなったことや、きつね山のばあさんが最近、家に閉じこもっているという話を聞く。きつね山のばあさんが閉じこもっているのは、元気をなくしたばあさんの家に近所の人たちがやってきて、「前みたいに元気出して、老人会や畑仕事にも出ておいで」と励ましたから。なぜ、励ますことがいけないのか。こころの健康を失った人は、「頑張れ」 「元気を出して」などと励まされることがかえってストレスになり、疲れたときは家族や近所の人、病院、役場、保健所などに相談することが重要という。
 ■周囲の人が注意して気づいて 御坊保健所の精神保健福祉相談員の大原弘之さん(31)は「お年寄りは夫や妻が亡くなったり、体力や記憶がなくなったり、さまざまな喪失体験から不安、焦燥感が募り、うつ病になってしまう人も多い。本人が自ら相談、受診するというのは難しく、家族や周囲の人たちが気づいてあげることが大切です」という。
 ■精神科医による相談も 御坊保健所と管内の御坊市、美浜町、日高町、由良町、印南町、日高川町は、それぞれの役場などでこころの健康相談を日常的に受け付けており、「気分がすぐれない」「疲れやすい」「眠れない」など、心と体の変調を感じる人や家族からの相談に対応。また、保健所はさらに毎月2回、専門の精神科医による相談も受け付けている。11月は10日と25日、12月は8日と16日。時間は毎回午後2時から。医師の相談予約、問い合わせは保健所℡22-3481、各役場担当課へ。紙芝居の貸し出しも受け付けている。
 

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