シリーズ 「うつ病」 ⑦ Kさんの場合 ㊤

 うつ病の原因は生活環境の変化や人間関係による精神的ストレスのほか、他の病気や薬の副作用で2次的にうつ病を引き起こす場合がある。だれもがなる可能性のある身近な病気とはいえ、患者自身が初期症状でうつ病に気づくケースは少なく、さらに自ら「精神科」という病院や診療所へ行くというのは抵抗感が強い。今週からは2回に分けて、体の変調からうつ症状をきたした男性のケースを紹介する。  
 市内の会社員Kさん (39)は、寝不足が続いたり疲れがたまると、瞬間的な吐き気やめまいの発作が起きる珍しい持病がある。子どものころから症状はあったが、医者にかからなくてもいつのまにかよくなくなるので、原因が分からないまま大人になり、とくに気にしていなかった。
 24時間、呼び出しがあれば真夜中でも現場へ急行するという仕事が5年ほど続いていた27歳のころ、久しぶりに発作が起きた。
 「またか」ぐらいの気持ちで仕事を続けていたが、発作は徐々に回数が増え、眠りが浅くなり、食欲も落ちてきた。ある日、Kさんは夜中に走った現場で座り込んだまま立ち上がれなくなり、「こらアカン」と市内の総合病院の内科を受診した。
 その症状に医師は首をかしげ、ひと通りの検査をしたがどこも異常はなし。気休めの薬も発作はおさまらず、さらに苦しくなったKさんは会社に休みをもらい、検査入院を願い出た。4、5日かけて全身の検査をしたが、結果はやはり「どこも異常はありません」。そこで初めて精神神経科の受診を勧められた。
 精神科のベテラン医師は、Kさんの話を聞きながら「はいはいはい」と食い気味にうなずき、首をかしげるばかりだった若い内科の医師とはあきらかに違う。脳波をとり、その波形を見た医師は「やっぱりね」。同じ病院の医師でも専門が違うとこうも差があるのか…。その軽いどや顔にKさんは救われた。「寝不足が一番いけない」と、発作を抑える効果のある薬を処方された。
 原因不明の吐き気とめまいは、その薬でうそのようにぴたりと止まった。が、苦しい発作のストレスにより、精神と肉体の機能面の調子がおかしくなっていた。Kさんは「そのときは発作の2次症状として、うつ病になっていました」と振り返る。

関連記事

フォトニュース

  1. 先輩、ありがとうございます!

写真集

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る