シリーズ 「ネット社会」 (終) 全国初 県の監視活動   

2010402.jpg だれもが気軽にアクセス、 情報をやりとりできるインターネットは、 便利で楽しい半面、 子どもや女性、 高齢者が犯罪のターゲットになる危険性もある。 友達のことや自分の行動を書き込む学校裏サイト、 プロフ (自己紹介サイト)、 ブログ (日記) などはだれに見られているか分からず、 不用意な個人情報の開示は自ら犯罪を招くようなもの。 シリーズ 「ネット社会」 最終回の今回は、 県が昨年から全国で初めてスタートさせたネットパトロール事業の取り組みを紹介する。
 全国的にインターネットに絡む青少年の犯罪被害やいじめが後を絶たないなか、県は県教委や県警と連携し、昨年6月9日からネット上のプロフやブログ、小中学校・高校の非公式掲示板「学校裏サイト」の監視をスタートさせた。パトロールはまず数人のスタッフがパソコンや携帯電話で県内の学校や子どもたちのものと思われるホームページ、書き込み等を検索し、抽出したサイト等は事業事務局の県青少年・男女共同参画課が管理。これを専従のチームが毎日、危険な個人情報開示やいじめにつながるような書き込みがないかチェックしていく。「これはまずい」と判断された要注意情報はすぐに関係機関に連絡。わいせつ画像や薬物取引、詐欺など犯罪に関するものは県警少年課に通報、いじめや学校に関する内容なら学校、県人権局に連絡し、学校名等を特定できないものは30人体制で見守り、監視を継続している。
 ことし1月末までのパトロール結果をみると、初期の検索により抽出されたプロフやブログ、学校裏サイトは1013件。このうち8割近くの794件はプロフ、ブログで、219件が学校裏サイト。プロフとは、中学生や高校生が住所、氏名、生年月日、趣味、特技など数十項目のプロフィールを掲載する自己紹介サイト。実名や本当の住所、学校名・学年などのほか、ブログ機能もついたサイトでは「これから○○へ行きます」などと自分の居場所や行き先、行動の予定を書き込む女の子もいる。また、男子生徒では 「朝起きて一服(たばこ)した」「ゆうべは酒を飲んで二日酔い」などと、堂々と不良行為を書き込んでいるケースもあり、これらは学校を通じて本人に指導、 顔写真や書き込みを自主的に削除・修正させた。
 実際にいじめにつながると思われるケースとしては、小中学生が集まる掲示板に携帯電話番号を書き、「この番号にかけて、『○○ちゃん、かわいくないよ』といって切って」という書き込みがあり、特定される個人名をあげて 「みんなでこの子について語ろう」というものもあった。これらの書き込みについては、県青少年・男女共同参画課の担当職員がサイトの管理者に対し、「公序良俗に反し、いじめに発展する可能性がありますので、削除をお願いしたい」と要請。 これまでのところ100%対処してくれたという。
 こうした地道なパトロールの成果として、最近は中高生のプロフやブログへの無警戒な顔写真の掲載、実名公表等は急減。 スタートから現在までに薬物取引等の犯罪事案は1件もないという。しかし、プロフ自体は形を変えながら増え続けており、モバゲータウンやミクシィなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と呼ばれる会員制のコミュニティーサイトに移りつつあるという見方もある。同課は「最近は私たち大人の監視活動が浸透したためか、中高生の間で『過激なことを書くと注意される』と意識されてきているようだが、問題は大人の目につかない、見えない部分に潜行しているのかもしれない。来年度からは体制を強化し、SNSサイトも監視していきたいが、これは会員制サイトだけに、生の書き込みがある部分は暗証番号がないと閲覧できないという問題もある」と話し、日々進化を続けるネット社会で新たな課題に直面している。
 同課はこのパトロールだけでなく、学校や地域の団体からの依頼を受けて、 ネット犯罪防止に関する出前講座に講師を派遣している。また、県はネットや携帯電話に関して、子どもや保護者、教職員がメールで相談できる「ネット安全パトロール和歌山ウェブ相談窓口を開設。メールアドレスsodan@wakayama-c.ed.jpで受け付けている。同課健全育成班長の山本久司さんは「中高生はいじめの書き込みやワンクリック詐欺など、インターネットに関して困ったことがあればすぐに大人に相談してほしい。問題はまず大人が関心を持たなければ解決できません。大人はたとえネットの世界の話が分からなくても、子どもの不安や悩みにじっくり耳を傾け、話を聞いてあげてください」と話している。

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