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 「ハイキュー!!」25巻「返還」(古舘春一著、集英社)。

 前巻、日向呼ばれていない合宿に乱入編も面白くて感想書きたかったけど、ぼやぼやしてるうちに新刊が出た。
 
 今巻の展開、凄いですね。
 影山、いいですね。
 表紙もいいし、中身もいい。
 タイトルがいいです。

 「返還」

 何が返還されるのか。
 それは、8巻「脱・孤独の王様」で影山が脱ぎ捨てたハズの、「王様」というスタンス。

 そうか!
「脱」は「孤独の王様」であって、コート上の王様でなくなったわけじゃなかったんだな!

 影山は今、ものすごい勢いで脱皮している。
 あるいは繭の中の変態のダイナミズム。
 ものすごい勢いで羽化に向かってる感じ?

 合宿もユースも終わり、お久しぶりの「鉄壁の伊達工」との一戦。

    ...良いな

    強さは心地良い

 ハイレベルの力と力のぶつかり合う、その最前線でプレーする。
 鳥肌ものの快感。
 
 それをかみしめる影山の、この横顔のワンショットが素晴らしい。

 光を受けて。
 顎先から滴る汗も光らせて。

 体温と、体内のボルテージの高さすら伝わってくるようです。

「西谷さん!
 邪魔っス!」

 ギョッとするチーム一同。

「ああん!?」

 気色ばむ西谷。

「バックアタックの助走の邪魔してます」

   ピピ――ン

「なるほどな!!」

 外野では、
「全然気づかなかったなー」
「プレー中に気づく影山も言われてすぐに思い当たる西谷も凄いですね」
「西谷さんにあんな風に言うのがスゴイ......」
ということでその場は治まるが、さらに。

 3年エース・東峰への、抑えかねてほとばしる言葉の一撃。

「俺は良いトス上げてます!!
 もっと決めて下さい!!」

  ......そして空気が尖るよりも先に、本人の心の中でのフラッシュバック。

 「コート上の王様」の二つ名を頂戴するもととなった、中学時代のプレー中の言動の数々。
 コート上でメンバーとの間を亀裂で隔てられた、悪夢のような時間。

「――す」

 ...みません、と東峰に謝りかけた影山の言葉にかぶせるように。
 日向の声が飛んでくる。

「前から思ってたけど王様って何でダメなの?」
 
 日向に集まる注目。

「横暴だからだっけ?
 自己チューだから?

 でもどっちみち 影山が何言っても

 納得しなかったらおれは言う事聞かない!!」

 近くで影山を見てきた日向には、影山の求める方向性が本能的にわかる!

 上に向かおうとする影山が、チームごと「上」へ引っ張り上げようとしている。
 そんなエネルギー変化の動きが今まさに、コート上で起こっている!
 つまらない気の使い合いでそれを止める意味はない。

 なぜなら。
 日向には影山の志向がわかっている。

「『セッターは支配者っぽくていちばんカッコイイだろうがッッ』」

 それは1巻、再会直後の影山のセリフ!

 (「セッターはチームの司令塔だぞ!?
  試合中一番ボールに触れるのがセッターだぞ!?
  支配者っぽくて1番カッコいいだろうが!!」)
 (私が「ハイキュー!!」に注目したセリフでもありました)

「あんな風に言ってたことすんなり消えるワケない」

 そしてタオルで王冠をコネコネとつくりながらじりじり影山に近づく日向。

「どんなに良いコぶろうとしてもお前の本質は王様なのだ観念するがいい!!」

 ビャアッ

 と飛び上がる日向から、

「新・『コート上の王様』
 誕生だァー!!」

 ......戴冠!!

 次の瞬間、ビターンとタオルを日向の顔にぶつけ返しはしたけど。

 「フッきれたな」
 「ですね」

 うなずき合う、繋心コーチと菅原。

 影山の顔に浮かぶ、不敵な笑み。

 ここからか!?
 チームごと羽化するのか!?
 でも、今巻はここまで!
 次が待ちきれない!

 この巻の展開って、本当凄いと思うんですね。
 
 突出して技術の高い影山の存在は、チームとして大きな武器であることに間違いはない。
 影山が皆に遠慮して下りてくる必要はない。

 どの位置のメンバーにもピタリと合わせられるのが影山の凄さではあった。
 しかし。

 もはやその段階を維持していくべきではない。

 チームごと、その高さにまで上昇する。

 明確な意志をもってそうする、そうすべき段階にチームは到達している。

 ユース参加の刺激によって目指すべき地点への渇望に目覚めた影山。
 急激な変化は、周囲との温度差やペースの差で軋みを生じさせがちだけれども。

 そこに日向がいたから。
 言葉の足りない影山の意志を、チーム全体に伝えることができた。

 小回りの利く歯車が、力を効率的に全体に伝えるように。

 試合の最中にこれができるのが凄い。
 
 影山の感じていることを日向も感じて、それを明るさと率直さで皆にストレートに伝える。
 日向の無意識の力の凄さ。

 何よりも、そんな個々の感情の移り変わりの機微を、絵の力で描ききってくれるのが凄い!

 これが果たして、試合の中でどう動いていくか。
 
 ジャンプではあえて「ハイキュー!!」は読まないようにしてるので、26巻がほんっと待ち遠しいです!
 
 

MT42BlogBetaInner

プロフィール

サト 日高新報記者。文化関係等の取材、編集整理、連載随筆や投稿原稿の編集を担当。空いた時間が少しでもあれば、本か漫画を読まずにはいられない。料理や洗濯をしながらも、可能な限り本を手離せない真性活字中毒。常に面白い本の情報を求めています。音楽や映画、歌舞伎など舞台芸術も大好きです。ひのえうま生まれの女。

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