切目王子物語の紙芝居が完成

 熊野古道九十九王子の中の五体王子の一つ、印南町切目王子の歴史をより分かりやすく知ってもらおうと、地元有志でつくるふるさとの歴史を学ぶ会(うらしま会)が、片足の神様として知られる切目王子の物語の紙芝居と冊子を作製した。宮内庁にも書写が残る由緒正しい物語で、地元の子どもたちをはじめ町内外に発信していく。

 切目王子の物語の原本は平安末期か鎌倉期の作とされ、1446年には伏見宮貞成親王が書写。上、中、下巻から成り、現在、下巻「宝蔵絵詞」のみが宮内庁に残されている。今回、これを分かりやすい文章にして、上洞に住む漫画家の太田絢子さんに絵を描いてもらった。

 金剛童子と呼ばれ熊野権現に仕えていた切目王子が、お坊さんを殺してしまった罰で片足を切られて悪さをするようになるが、友達の願いで「きな粉を顔に塗った信者は襲わないようにする」と約束。それから悪さをしなくなった。切目王子はいまも、時には優しく、時には恐ろしい神様として道行く人を見守っているというストーリー。熊野から帰る人々は顔にきな粉を塗るのが習わしとなり、きな粉で化粧をする風習が節分の豆まきの原点になったことも紹介されている。

 紙芝居のタイトルは「切目王子のものがたり」。公民館図書室に置いて、小学校などで披露してもらう。冊子はA4判、33㌻で、800部作製。紙芝居と同じ物語を収録し、1200年、後鳥羽上皇一行11人が切目王子での歌会で詠んだ懐紙(国宝)の22首や切目神社由緒も掲載している。

 うらしま会の寺下鎮雄会長(74)とメンバーの松本眞紀さん(74)は、「切目王子神社は、全国各地に分社がある由緒正しい神社。調べれば調べるほど、新たな発見と驚きがあります。切目王子の物語は難しいので、小学校低学年でも分かるように紙芝居にしました。この物語で劇をつくるなどさらに発展してほしい」と話している。同会では切目王子神社で2016年樹木プレート、昨年切目懐紙プレートの設置を行った。紙芝居と冊子の作製には、印南まちづくり基金30万円などを活用。

写真=紙芝居と冊子を手に寺下会長㊨と松本さん

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