御坊で初の認知症ケア報告会

 介護にかかわる各事業所での取り組みを共有することで、本人の望む支援につなげようと御坊市主催の「みんなでつくる認知症ケア報告会」が13日、市役所で開かれた。市内の特別養護老人ホームや老人保健施設など9施設が実際の取り組み事例を発表。好きだった音楽を聴いたり、何かを手伝いたいという本人の思いに寄り添ったケアで、ふさぎがちだった入所者が明るくなった実例を学び、取り組みのヒントを得る機会となった。

 日ごろ、認知症本人の意思を尊重したケアを模索している各事業所に情報共有してもらおうと、初めての取り組み。9施設がそれぞれブースを設け、3施設ずつ同時に10分間、取り組み事例を発表し、ケアマネジャーや介護職員、介護専門学校生ら参加者約50人が各ブースで話に耳を傾けた。

 老人保健施設リバティ博愛は、アルツハイマー型認知症の80代女性のケアを紹介。女性は入所当時、「どうしたらいいんですか」「何かすることはないですか」と不安そうな表情で、常に何かすることを探している様子だったことから、やりがいのあることを見つけることを検討。

 フロアの入所者と交流するために歌や大正琴を職員と一緒に実践した。取り組みを通し、「本人の『できる力』や『人に役立ちたい』という思いが実現するにつれ、困った行動が軽減した。施設という集団の中で利用者の一人に焦点を当て、その人の思いを探すためにフロアメンバーが具体的な生活歴や趣味も含め『一人のあなた』を深く見る(知る)ことの大切さを知った」などと報告した。

 ケアプランセンターキタデの発表は、アルツハイマー型認知症の70代男性の事例。本人は何事も意欲がなくふさぎがちだったが、昔好きだったという歌にヒントを得てギターの生演奏でうたったところ、布団をかぶって寝ていた男性が顔を出してくれた。「本人に何かをするよう声かけするばかりではなく、五感で感じてもらえることを考えることも必要だと感じた」などと丁寧にかかわることの大切さに気づいたという。

 ほかの施設の取り組みでも、「本人ができることまで過剰にやりすぎていたのではないかと見方を変え、日記を書くことやリハビリを始めると、表情が豊かになり、自分から進んで物事をすることが増えた」「本人の生活スタイルや言動の特性だけで支援を考えるのではなく、本人をつくってきた背景を知りたいと思った」などの意見が続々。参加者からは「すごく参考になりました」との声が聞かれ、好評だった。

写真=事業所の取り組み発表を聞く参加者

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