お客さまのための仕事

 東京の都立高校で生活指導を担当する男性教員が口論になった生徒に暴力を振るい、その様子を撮影した動画がSNSに投稿されて拡散、大きく報道された。テレビのワイドショーを見ていると、多くの出演者が「体罰はいけない」と前置きしつつも、被害生徒らを厳しく批判。確かに「生徒はお客さま」ではなく、先生に同情の余地はあるが、教員の体罰は法律で禁止されており、暴行に及んでしまってはいけない。

 「お客さま」といえば先日、これまたテレビで「カスハラ」が取り上げられていた。カスハラはカスタマーハラスメントの略で、意味は消費者による自己中心的で理不尽な要求や威圧的な言動による苦情。その番組によると、小売業やサービス業の労働組合団体が行ったアンケートで、カスハラを受けた経験が「ある」と答えた人は7割超。実例のいくつかをドラマに仕立てて再現していたが、なかなか恐ろしいものだった。

 「お客さまは神様です」というフレーズがある。これは歌手の三波春夫が生んだと聞いた。公式ホームページには「三波春夫にとっての『お客様』とは聴衆・オーディエンスのこと。客席にいらっしゃるお客様とステージに立つ演者、という形の中から生まれたフレーズです」。受け手側が自らを神と定義付けて増長してもいいという意味ではない。道で見知らぬ人に助けてもらって言う「ありがとうございます」を、初対面の店員さんに対しては「ございます」を省いて粗雑にしてしまっていませんか。

 新聞社にとってのお客さまは、読者や広告主。「水先案内人」としての役目もあるが、自己満足の押しつけがましい紙面ではなく、お客さまが読みたい記事、見たい写真を届けたい。(笑)

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