説得力あるトークの強さ

2018年度第5回市民教養講座は、元衆議院議員の杉村太蔵さんが講師。演題は「『バカは生きる』爆笑 プライドを捨てた男の人生訓」◆だが聴いてみると「バカは生きる」というテーマがまったく登場せず、国会議員時代に勉強した内容をてきぱきと紹介しながら、日本の現状と未来への展望を歯切れよく語る。数分に1回笑いを盛り込み、聴衆を引き付ける工夫も忘れない。終演後は、見直した、という感じで「面白かったな」と言い合う声が聞かれた◆大勢の人の前ではっきりと自分の考えを話せる人は、それだけで一つの力を持っている。それを実証すべく、客席から杉村さんの選んだ3人が①1600年の関ケ原②1868年の明治政府誕生③1945年の第2次世界大戦終戦、のうち「日本の最も大きな転換点はどれだと思うか」でプレゼン。3人とも、論拠を示しつつ自身の考えを堂々と明確に述べられたのには感じ入った。論旨を要約すると、①は「小国同士の戦乱が終わり、日本が初めて一つの権力のもとに体制を整えた」、②は「自国のことだけ考えていればよかった時代から初めて外に目を向け、新しい日本が始まった」、③は「軍国主義から経済も文化も自由になり、現在までの発展の基礎がつくられた」。拍手の大きさで説得力を判定し、僅差で②に軍配が上がった。筆者は人の話を聞くのは大好きだが話すのはさっぱりで、少人数を相手にしてもほぼ何を言っているのかわからなくなるのでうらやましい限りであった◆ただ、どんなに説得力のある弁論も、語り手の実体験に基づく言葉の重みにはかなわない。いろんなデータや分析は興味深かったが、杉村さん自身の貴重な体験から得られた教訓をもっと聞きたいと思わせられた講演であった。     (里)

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