三尾の旧野田家住宅等 国の登録有形文化財に

 国の文化審議会は16日に開いた文化財分科会を経て、地域に親しまれ、時代の特色をよく表し、再び造ることができないなどの築50年以上経過した建造物などを対象とする「国登録有形文化財」に、美浜町三尾の旧野田家住宅主屋、門及び塀と、同地内の遊心庵(旧田中家住宅)主屋、門及び塀の2カ所4件を新規登録するよう文部科学大臣に答申した。美浜町内では初の同文化財登録となり、貴重な建造物保存とともに地域、観光振興へつながると期待されている。

 旧野田家住宅はカナダ移民の集落、「アメリカ村」とも呼ばれる三尾で、1934年ごろに中津家によって建設された近代の洋風住宅。中津家はカナダ・バンクーバーで働くなどして帰国し、建設した。その後、野田氏が取得。主屋は主棟、台所、和室、浴室の各部をロ字型に連ね、中央に小さな中庭を配置。主棟部は木造2階建て、寄棟造り、瓦ぶきで、その他は木造平屋建て、瓦ぶき。外観は南京下見板を張り、水色のペンキが塗られている。屋根は緑色のセメント洋瓦でふかれ、主棟部の正面側には玄関ポーチを張り出す。屋内は東に洋室の応接間、西に和室。2階の南側は床の間を備えた和室、北側には洋室の2室がある。洋室の床はフローリング張りで、壁はニス塗りの腰壁に漆喰塗りとなっている。門及び塀は鉄筋コンクリート造りで、全体に洗い出し仕上げを施す。2017年度に野田家から美浜町に所有が移ったのち保存修理が行われ、いまは地方創生事業の一環でカナダミュージアムとして活用中。

 遊心庵は、三尾出身の田中松蔵により建設。松蔵はカナダに渡ってサケ漁で成功、1933年ごろに三尾に敷地を取得し、住宅を建てたとされている。73年に田中家の所有を離れ、その後、数度の所有者変更を経て2016年に現所有者が取得。旧野田家住宅同様、地方創生事業の一環でゲストハウスとして活用することを目的に改修された。敷地は集落中心部の高台にあり、東西に長く、南側に石垣を築いて造成、中央に主屋がある。主屋は木造平屋建て、瓦ぶきで、建築面積214平方㍍。正面東端を前方に突出させ、西側に別棟が接続する。内部は玄関から東側を土間、西側を床上部として座敷を設け、別棟は洋風の応接間で外観も下見板を張る洋風の意匠。内部、外観ともに落ち着いた和風意匠を基調とするが、一部に洋風を取り入れているところに特徴がある。門及び塀は石垣上に建ち、延長20・4㍍、門の間口は2・4㍍。コンクリート造りのモルタル洗い出し仕上げとし、伝統的な屋敷構えに近代的な彩りを添えている。

 文化財登録制度は1996年にスタート。届け出制という緩やかな規制を通じて保存が図られ、活用が促進されている。登録有形文化財建造物の優遇措置は修理補助、地域活性化事業補助、税制面など。今回の和歌山県内の登録は4カ所10件。

写真=旧野田家住宅㊤と遊心庵

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