日高町の比井城跡で無通知工事

 日高町教育委員会は19日に中央公民館で記者会見を行い、比井地内の埋蔵文化財「天路山城跡(てんじやま・通称比井城跡)」で、町道工事に関わる文化財保護法違反があったと、発表した。工事現場が、県埋蔵文化財包蔵地内であるにもかかわらず、文化庁に工事の通知をしていなかったのが問題で、県の確認によると、城の本丸跡の一部も破壊しているという。

 城跡は、比井小学校北西にあり、北から北ノ出曲輪、三の丸、二の丸、本丸、南ノ出曲輪群、五輪塔などで構成。現在は山林となっており、周辺エリアを含め県埋蔵文化財包蔵地に指定されている。工事は、巨大地震の津波避難路としても期待される日高町比井漁港集落道の整備で、2013年度から総事業費11億5500万円を投入。比井小学校北から比井漁港西まで延長約1㌔、幅5㍍の道路を建設し、避難路沿いの2カ所に避難広場も整備する計画。現場工事は14年度から着手し、16年度からの工事で県埋蔵文化財包蔵地内に入っており、法面の掘削や造成を行っていた。

 町では教育課の担当職員(現在は退職)が14年4月、独自に作成した包蔵地図で「埋蔵文化財包蔵地内に入っていない」と回答したことから、文化財保護法第94条第1項に基づく文化庁長官への通知をしないまま工事を進めてきた。しかし、ことし9月11日、県教育委員会文化遺産課から「埋蔵文化財包蔵地内での工事ではないか」との指摘があった。13日には同課の専門職員が現地状況を確認したところ、文化財包蔵地内での工事であることが発覚した。

 記者会見では玉井幸吉教育長が「本町の文化財担当者が周知の埋蔵文化財包蔵地を把握できていなかったことや教育委員会内において文化財保護などについての認識が不足していた。文化財専門職員を配置していなかったことや教育委員会の中で連携ができていなかったことも深く反省しており、誠に申し訳ない」と陳謝。今後、埋蔵文化財の把握のための体制強化や無通知での着工防止に努めるとし、「天路山城跡については看板を立てるなどで文化財としての活用を図り、町文化財の指定に向けても調査、検討していく。町道工事は設計変更して、残された部分の保存に努めたい。公共性、緊急性にも配慮しつつ、事業の円滑な実施と文化財保護の両立を図っていきたい。国民共有の財産である文化財を破壊したことを真摯(しんし)に受け止め、法令順守と再発防止に努めたい」と話している。県文化遺産課では「本丸の一部が破壊されていることも確認した。文化財保護法や本県の条例で違反に対する罰則はないが、社会的な責任は計り知れない。元には戻せないが、町には破壊した責任を持って未来へ残す努力をしてほしい」と求めている。

 今後、町は現場について埋蔵文化財保護のための発掘調査をするのかどうかなど、県の指導を仰ぎながら進めていく。仮に発掘調査するなら1、2年が必要で、町道工事の遅れは必至とみられている。

写真=本丸の一部とみられる法面での工事現場

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