文化財保護と防災対策の両立

 日高町を担当していて恥ずかしながら天路山城跡(てんじやま・通称比井城跡)のことを知らなかった。ネットで調べると、城は戦国時代の武将で御坊市の亀山城12代城主として知られる湯川直春が築城し、弟の湯川弘春が住んだらしい。場所は比井小学校北西にあり、周辺エリアを含め県埋蔵文化財包蔵地になっている。

 そんな城跡で文化財保護法違反の町道工事が行われていたのは既報の通り。教委によると「当時の担当職員が文化財包蔵地であることを把握してなかった」とし、本来必要な工事の通知をしていなかったため法に抵触。しかも、本丸、二の丸、土居の一部を破壊した。担当職員の責任は重いが、一人の判断に委ねていた体制や町としての文化財保護に対する意識の低さにも問題があったと言える。

 ただ、この町道は津波の避難路としても活用したい考え。現在、工事はストップしており、今後、文化財の発掘調査などが必要になった場合は、さらに1、2年にわたり中断、完成が遅れる可能性があるが、近年発生が予想される巨大地震に備えて防災対策は待ったなしである。

 文化財保護と人の命のどちらが大事かと言えば当然、命ということになろうが、だからと言って文化財保護をないがしろにしていい理由には当然ならないし、最初から法に基づき処理していればこんな遅れはなかった。壊してしまった文化財は元には戻らず、今後いかに保護に努めていくかが課題。町はこの機会に天路山城跡を広く周知してより一層保護意識を高めながら、なおかつ町道工事のスムーズな進捗(しんちょく)にも全力を挙げて取り組んでいただきたい。(吉)

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