時代を映す芥川賞、普遍的な直木賞

 本の紹介コーナー「本のひだかや」がスタートして3カ月。おかげで読書生活に変化が出てきた
 元々活字中毒で、蔵書は本棚の許容量を超え、あちこちに本の山の入った袋がある。寝る場所はないこともないが、寝る時間はあまりないかもしれない。本を選ぶのは気分一つで話題作を読もうという気はなく、芥川賞・直木賞作品も積極的に読んではいなかった。第155回を迎えた両賞だが、これまで読んだ受賞作は各20点ほど。だが本を広く紹介するとなるとやはり話題性という点でこれに勝るものはなく、近年のものを読むようになった
 セットのように語られるが、純文学新人の芥川賞作品と大衆文学ベテランの直木賞作品は全く性質が違う。普通の意味で面白いのは直木賞だが、より関心を集めるのは芥川賞。新人賞だから無理もないかもしれないが、最新の受賞作でもインターネットの一般書評は芥川賞の件数が直木賞の5倍以上。
 昔からそれが不審で、みんな「アクタガワ」という重みを感じさせる5文字の響きが好きなだけなのではないか、森鴎外にちなんだ森賞とかいう名ならこれほど注目度はないかもしれないなどと考えたりしていた。しかし近年の受賞作を読み、時代の気分を鏡のように反映させているのは芥川賞で、直木賞には逆に時代を超えた普遍的なテーマがあるように思えた。芥川賞作品は、同時代の潮流としてすぐ読むことに意義があるかもしれない。面白さを見いだすのに努力がいるとしても
 本との出会いは人との出会いと同じ。相性もあり、どんなきっかけで縁が結べるか分からない。このコーナーが有意義な出会いのきっかけになれば幸いだが、その前に自分が有意義な出会いをしているのはありがたいことだ。(里)

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