大横綱の秘めた底力を

 夏場所、15日間の戦いが終わった。賜杯を手にしたのは横綱白鵬。大鵬より5回も多い37回目の優勝も全勝で締めくくり、稀勢の里の初優勝を願ったファンはがっくり。直接対決で力の差を見せつけられた。
 白鵬は31歳。意外に若い気もするが、ちょうど力士の平均引退年齢と重なる。それでも天性の相撲勘とパワーは健在、肉体にもまだまだ張りがあり、40回の優勝も間違いない。土俵上の闘争心は場所ごとに凄味を増している。
 強い者はさらに強い相手、大きな世界を求めて上を目指す。プロ野球のイチロー、ラグビーの五郎丸らのように、坂の上の雲を目指して自分より強く大きな相手に挑み、活躍する姿がファンの心をつかむ。
 日本人は外国人に比べて、とくにその傾向が強い。連合艦隊が世界最強のバルチック艦隊を撃破した日露戦争の日本海海戦はその象徴であり、大河ドラマの主人公のように、難攻不落の敵の牙城をいかに切り崩すか、覇道を持って王道に立ち向かう知将に人々は陶酔、熱狂する。
 しかし、人の心は熱しやすく冷めやすい。絶大な人気と強さを誇ったスターも、トップに長く君臨するうち、今度は自分を打ち負かす者の登場を期待されるようになる。ようは飽きられ、嫌われ者になってしまう訳だが、いまの白鵬はまさにこの状態にある。
 団体競技のチームや組織も成長、進化するためには新陳代謝は避けられない。政治の世界では選挙という形で、ときにその争いが激しく火花を散らす。御坊市のトップを選択する戦いにも審判が下った。
 強力新人の挑戦をはね返し、見事、7選を果たした柏木氏は、地方を救う大横綱として、しがらみのない政治に秘めた底力を存分に発揮してもらいたい。(静)

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