虐待とは次元が違う凶悪さ

 川崎市の有料老人ホームで相次いだ入所者の転落死に関し、亡くなった男女3人のうち1人の男性の転落死に関与したとして、この施設の元職員の男が殺人の疑いで逮捕された。男は23歳。転落死が続発したあと、入所者の現金などを盗んだ疑いで逮捕され、有罪判決を受けていた。
 逮捕容疑の1件目の男性の転落では、同僚に「(男性が)部屋にいない」と連絡のうえ、ベランダ下に落ちていた男性の第一発見者として、心臓マッサージ等の救命処置をしていた。3件目の女性が転落したときもこの男が第一発見者で現場に急行、3件すべての現場で救命処置をしていたという。
 男は高校を卒業後、医療系の専門学校で救急救命士に合格。すでに3人の殺害を認める供述をしているが、驚くのはおのれが投げ落としたうえで仲間に急を知らせ、「たた、大変だ」と自ら第一発見者となり、プロの技術を持って応急処置をしたという偽装工作。疑惑が持ち上がり、逮捕までの間も、不敵な面構えで平然とメディアの取材に応えていた。
 3人が転落したのはいずれも同じ場所で、落ちたベランダは周囲から死角になり、1人は居室が別ながら1人目と同じ部屋のベランダから転落。真夜中で目撃者がいない点も共通しており、さらに容疑者は同僚に「俺が泊まりをやると何かあるよ」と、3件目の転落を予告するかのようなことを話していた。どこまで歪んでいるのか…。
 介護現場の虐待は人手不足と安い賃金、過重労働が背景といわれるが、今回の事件は虐待とは比較にならない悪質な計画的連続殺人の可能性が高く、同業者のショックははかり知れない。介護報酬改定など、あらためて、超高齢社会を支え合う国民の覚悟が問われている。 (静)

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