人と世界を滅ぼす麻薬と核

 名画『ゴッドファーザー』でヴィトー・コルレオーネの側近、テッシオを演じた俳優エイブ・ヴィゴダが亡くなった。不意に路上で怪しげな男たちに囲まれ、粛清されることを悟った瞬間、仲間のトムに「見逃してくれないか」と悲しい目で訴え、首を横に振られるシーンがせつない。
 裏社会のマフィアはどこの国にもあり、アメリカでは60年代から麻薬が大きな資金源となった。映画のコルレオーネファミリーも新たなビジネスとして麻薬を持ちかけられ、ヴィトーが「危険な麻薬だけはやらない」と断ったために命を狙われる。テッシオの裏切りも含め、この麻薬がNYの抗争を引き起こす。
 国家レベルでみれば、麻薬以上に強烈な「力」となるのが核兵器。またまた北朝鮮が核実験、ミサイル発射を強行し、アメリカに対等のつき合いを迫って脅しをかけている。アメリカを世界のゴッドファーザー、コルレオーネとすれば、北朝鮮は暴走族上がりのチンピラにすぎない。が、危険な麻薬(核)を持っているだけに無視もできない。出方を間違えば抗争(戦争)の火種ともなるだけに頭が痛い。
 日本では歌手の飛鳥涼に続いて、元プロ野球選手の清原が逮捕された。当然、警察は特捜班が24時間の監視を続け、メンツにかけて大量の証拠を押さえており、清原容疑者の有罪は間違いない。天才がなぜ転落したか。孤独? 人間としての弱さ? 世間の人はみんな、とくに才能もなく、孤独を抱えながらも、日々、笑顔で頑張っている。
 そんなことより、だれもが身近に存在し、手を出せば幻覚、幻聴に襲われ、通り魔に豹変する麻薬の恐ろしさを、現場の刑事なり元乱用者が学校を回り、ストレートに地獄を語って聞かせる取り組みが必要ではないか。(静)

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