西岩代八幡神社の回舞台 狂言でこけら落とし

 みなべ町西岩代の西岩代八幡神社で4日、修復された県指定文化財「回(まわり)舞台」のこけら落とし公演が行われた。以前の回舞台は明治15年(1882)に修復された記録があるが、これまで半世紀以上は老朽化で使用できておらず、地域の人たちも回る舞台を見るのはこの日が初めて。京都学生狂言研究会の学生らが狂言「清水」を演じ、場面転換で舞台が回ると、集まった数百人の観客から歓声と拍手が湧き起こった。
 回舞台は、境内にある木造瓦ぶき入母屋造りの長床の舞台装置。舞台中央の床下に約1㍍の壷穴が掘られ、回転軸に十字に差した棒を数人で押すと、直径約5㍍の円形の舞台が回転する。県内では有田川町の城山神社にも回舞台が現存するが、西岩代八幡の方が歴史は古く、江戸時代初期、1609年に書かれた棟札には「祭礼で若者が狂言を奉納した」という趣旨の記述があり、農閑期には旅回りの芝居や文楽なども演じられていたと伝わっている。
 地元の秋祭りでは毎年、長床で県指定無形文化財の「岩代の子踊り」が奉納されているが、回転台は老朽化で動かず、地域のお年寄りの中にも回舞台が動くのを見た人はいない。「地域伝統の文化財をこのままにしておくのはしのびない」という声が盛り上がり、県と町の補助を受け、ことし夏から133年ぶりとなる修復工事がスタート。この日のこけら落としには、半世紀以上のブランクから復活する回舞台をひと目見ようと、地元以外からも多くの見物人、アマチュア写真家が詰めかけた。
 こけら落としは、由良町出身のシンガーソングライター、藪下将人さんと兵庫出身の藍田真一さんのアコースティックユニット「ヤブシン」のライブで幕を開け、京都大学と同志社大学の学生らでつくる京都学生狂言研究会のOB、河田圭輔さん(35)ら4人が「三番叟(さんばそう)揉(もみ)の段」と「清水」を披露。「清水」の舞台転換で「ゴゴゴ…」という音を立てて金の屏風が半回転、さらに半回転して演者が登場すると、客席から歓声と大きな拍手が湧き起こった。
 狂言のあとは町民の和太鼓グループ「王子太鼓」の演奏もあり、最後はもち投げで舞台のお披露目をにぎやかに締めくくった。
 こけら落としの前には神社総代長の橋本和幸さん(66)が舞台に立ち、地元区民はじめ県、町、総代、施工の大工ら関係者への感謝を述べたうえ、「これからもこの舞台を大切に守りながら、こうした催しを開催していきたい」とあいさつした。

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