一枚の写真から歴史学ぶ

 「地域の人たちも倒壊する直前まで中にいてたみたい。大きく揺れ出したんで、みんな外へ逃げ出して幸いにも誰も下敷きにならなんだて聞いているけど」。昭和36年9月16日に撮影された、第二室戸台風で屋根を残して倒壊した由良港中講堂の写真を見ながら、こんな話を聞かせていただいた。そのほか、昭和42年6月24日撮影の「集団赤痢発生」の写真では、由良港中グラウンドで「健康保菌者」が生活する様子がとらえられており、不調を訴える人以外も隔離されていたということを教えてもらった。
 由良町神谷、旧白崎中2階の一室に、阿戸のカメラ愛好家で2年前に亡くなった岩﨑芳幸さん(享年82)が撮影した写真の展示コーナーが開設された。半世紀以上も由良町の町並みの移り変わりや風景、行事などをレンズで追いかけた岩﨑さん。数千枚に及ぶ写真の中から町文化財保護審議会委員長の大野治さん(77)が109枚を選りすぐり、見学しやすいように11のコーナー別に展示した。記事で紹介した以外には、由良川でボート遊びする家族連れ(昭和34年8月1日)、阿戸海上自衛隊防波堤での夏越祭(昭和34年7月31日)などもあった。
 一枚の写真は「その時の様子」を表現するだけでなく、当時を知る人の記憶と結びつければ、さまざまな出来事をリアルに後世に伝えられるとあらためて感じた。冒頭の災害の写真では、その一枚に記憶を呼び起こして語られる証言が加わることで、より生々しく状況を知ることができた。この展示コーナーは小中学生のふるさと学習にも活用できると思う。その際はぜひ地域のお年寄りたちに案内役をお願いして、自分たちの住む町をより深く勉強してもらいたい。(賀)

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