震災から4年、心の傷は…

 各学校では卒業式が行われ、別れの季節を迎えている。成長した卒業生は次のステップへと進み、いままで協力し合った仲間たちに別れを告げる。親にとっても子どもの卒業には特別な思いがある。生まれてからいままでの出来事が感慨深く思い返されるに違いない▼日高地方から大学や専門学校に進学する場合だと、大半が親元を離れて1人で生活することになる。就職の場合でも勤務先が遠方だと、1人で身の回りの用事をすべてしなければならなくなる。1人になってこそ、親の支えが分かるのかもしれない。親元を離れ、いつも一緒だった家族が別れ別れで暮らすことになる▼平成23年の東日本大震災で親と別れざるを得なかった被災者もいる。去る11日に政府が行った追悼式で、遺族を代表して菅彩加さん(19)が当時の思いを語った。津波で流れ着いた瓦礫の足元から母親の声が聞こえたという。釘や木が刺さり、足が折れ、変わり果てた母の姿があった。助けようとしたがどうにもならず、「行かないで」という母に「ありがとう、大好きだよ」と伝え、近くの小学校に泳ぎ渡って一夜を明かしたという。どんなに辛かっただろう。どんなに心が痛んだだろう。当時15歳だった少女には厳しすぎる現実。母親との最後の別れとなった▼震災から4年が経過。新聞やテレビなどでは「震災を風化させてはならない」と報道されている。教訓として生かすべき事実は語り継がなければならないが、心の中から忘れ去りたい記憶もあるだろう▼いま、被災地でも卒業式が行われている。壇上で証書を受け取った子どもたちは、姿の見えない両親を探しはしないか。被災から4年という歳月は心の傷を癒やすにはあまりにも短すぎる。 (雄)

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