県立医大ら 梅酢の不妊治療効果を確認

 県立医科大の宇都宮洋才准教授と和歌山高専の奥野祥治准教授らの研究グループは28日、和歌山特産の梅に含まれる成分が難治性不妊患者の妊娠率向上に効果があるとの研究結果を発表した。体外受精等の高度不妊治療を受ける女性に脱塩濃縮梅酢を服用させたところ、妊娠率が大幅に向上。健康と美容に多くの効果があるといわれる梅に、新たな効能が科学的に裏付けられた。
 県立医科大機能性医薬食品探索講座の宇都宮准教授と河野良平助教、うつのみやレディースクリニック(和歌山市新中島)の宇都宮智子院長、和高専物質工学科の奥野准教授の4人が記者会見した。
 梅は昔から動脈硬化や胃潰瘍、糖尿病、免疫力向上に効果があるといわれ、梅干しの副産物の梅酢を混ぜたエサを与えた鶏とその卵のおいしさ、栄養価もアップすることが分かり、人気ブランドの「紀州うめどり・うめたまご」が誕生。宇都宮准教授らは「鶏の卵にいいのならヒトの卵子にもいいのでは」と、梅の抗酸化作用に着目し、体外受精や顕微授精の高度不妊治療(ART=生殖補助医療)を受ける女性を対象に臨床研究を行った。
 梅酢の研究に参加したのは、以前からARTを受けている33~43歳の女性18人(平均年齢39・2歳)のうち、DHEA(ステロイドホルモンのサプリメント)を服用しても効果が出なかった9人。引き続きDHEAを飲んでもらい、合わせて塩分を抜いた濃縮梅酢を服用してもらったところ、半分以上の5人が体外受精や顕微授精で妊娠した。何も服用しなかった場合の妊娠率は5.6%(18人中1人)だったのに対し、DHEAを服用すれば4割近くに向上。さらにDHEAと濃縮梅酢の併用により、妊娠率は55.6%にまでアップした。また、DHEAを服用せず、梅酢のみによる研究も行い、結果は29~41歳の女性10人のうち、6人が妊娠に成功、4人が無事出産したという。
 臨床担当の宇都宮院長は「梅を投与することにより、受精率、妊娠率は非常に有意な差を持って向上することが分かった。卵の形成に重要な役割を果たす顆粒膜細胞も見違えるようにきれいになり、受精後の胚の形成もすごく順調だった」と述べた。
 研究グループはこの卵の質を高める梅酢の成分が「3、4―DHBA」であることを発見。通常、加齢に伴い増加する酸化ストレスが卵を覆う顆粒膜細胞にダメージを与え、細胞死を起こすが、「3、4―DHBA」は酸化ストレスから顆粒膜細胞を保護し、良質な卵の形成に寄与することも確認した。
 和高専の奥野准教授は「3、4―DHBA」の構造を核磁気共鳴スペクトルで解析。「梅には香りの成分のベンズアルデヒドなど多くの種類のフェノール性アルデヒドが含まれ、『3、4―DHBA』もその一種。梅は今後、さらに別の効能が発見される可能性がある」などと説明した。

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