満州移民の遺族ら現地訪問

 約80年前、移民開拓団として満州国に渡った家族を持ち、NHKで放送された女優藤原紀香さんの家族を紹介する番組が縁で集まった県内や大阪、奈良の男女9人が3月26日から1週間、当時の開拓団が生活していた中国吉林省を訪問した。御坊市藤田町吉田の会社員大串斉さん(50)を中心とする一行。中には現地で生活した人もおり「やっと帰ってこれた」と懐かしむ姿も見られた。
 NHKが昨年6月、俳優などの家族にスポットを当てる番組で、満州で生まれた和歌山出身の父を持つ藤原さんを紹介。藤原さんの祖父について調べる際、満州に渡った父についての情報を掲載している大串さんのサイトを見つけ、協力を依頼。大串さんは取材に協力し、父の過去の人脈などを伝ってNHKとともに、移民者やその家族らの家庭を回った。取材を受けた家族らから「父や母が満州で生活した場所に行ってみたい」などの要望があったほか、昨年10月の放送後にも同様の問い合わせがNHKにあり、訪中することになった。
 訪問団は和歌山や和歌山出身者、奈良の60~70代の男女9人。日高地方からは2回の吉林省訪問経験がある大串さんのみ。現地では満州国時代に存在した和歌山村を訪問。当時の看板や家がいまでも残っており、それぞれの家族の足跡をたどった。
 藤原さんの祖父母で満州に渡った藤原武夫さん・春子さん夫妻の春子さんの甥(おい)にあたる杉山順一さん(70)=和歌山市=は、武夫・春子さんが暮らしていた家を訪問。いまは現地の若い夫婦が生活しており、リフォームで内装は大きく変わっているものの当時と同じ間取りの部屋を見せてもらったほか、リフォームの際に出たもとの家の木材の一部を譲ってもらった。また春子さんが亡くなったとみられる場所も訪れ、手を合わせた。
 3歳まで満州で生活していたという田中富士子さん(72)=奈良県=は、住んでいた家などは分からなくなっていたが、現地にいまでも建っているレンガ造りの給水塔に「この塔は覚えています。やっと帰ってこれた」と懐かしむとともに、引き揚げ時の悲惨な様子などを話していた。
 案内を務めた大串さんは「皆さん、自分の家族の足跡をたどり、喜んでいただけました。いい機会を提供することができてよかったです」と話している。

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