防災は訓練参加から

 いまは映画監督として有名な北野武さんだが、昔はツービートという漫才コンビを組んでブラックユーモアで笑いを取っていた。そのネタの1つだったのが「赤信号みんなで渡れば恐くない」。三十数年前の漫才ブームで大流行し、いまでもこの台詞は耳にすることがある。人間は大勢の中では安心感があり、それは赤信号のような危険な場所でもみんなと一緒なら怖くないと皮肉ったネタだ。
 災害時の避難もこの人間心理が働くのかもしれない。以前に聴講した防災の講演会で、ある認識者は「一番最初に避難するのは恥ずかしいという気持ちが発生する。だから自分が進んで最初に避難することが大事で、それは周囲の人々の避難を誘」という趣旨の話をされていた。危機が近づいている状況でも周囲と同じような行動を取ろうとする心理が働き、大勢派の方を選んでしまうという意味だろう。北野さんがいう「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な心理に近い。
 先日、みなべ町岩代地区で防災訓練が行われた。住民に対しては事前の実施日時は伝えられず、いきなり町内放送が流れて訓練がスタートした。夜で気温が低く、筆者は「果たしてどれだけの住民が避難するのか」という疑問を持っていたが、大勢の訓練参加者がみられた。「近所の人が訓練に参加するなら自分も」という意識が働いているのかもしれない。
 東日本大震災から11日で3年が経った。その大きな教訓は、すぐに逃げ出すこと。津波から命を守るという観点では「訓練に参加する」という住民が大勢を占める環境づくりが大事。それは少しの猶予も許されない、災害時のいち早い行動へとつながるだろう。 (雄)

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