縫箔師の川﨑さん 粉河祭だんじりの幕修復

 御坊市御坊出身の縫箔師(ほうはくし)、川﨑順次さん(40)=兵庫県洲本市=が、紀州三大祭と言われる紀の川市、粉河祭のだんじりの水引幕を修復。このほど完成し、所有元の中町地区に納品した。
 文化庁の補助事業「紀の川市文化遺産活用観光振興地域活性化事業」の一環で修復。水引幕はだんじりを装飾する刺しゅう幕で、前後左右の4枚をつなぎ合わせると縦1・45㍍、横8・5㍍になる。図柄は、源氏と陸奥の安倍氏が戦った前九年の役(1051年~1062年)の名場面。兵のために岩間から清水を湧き出させた源頼義、13歳で出陣した安倍千世童子の勇姿、矢が目に刺さったまま敵を追う鎌倉景政、源義家が敵の安倍貞任と歌を交わす「連歌乃図」=写真=が描かれている。
 明治20年代の製作で老朽化が進み、過去3回粉河祭の祭礼具の刺しゅうを手掛けている川﨑さんに依頼。昨年8月から作業に取り掛かり、7カ月かけて完成させた。特に傷みの激しかった人物のよろいや衣装は明治期の縫い方を参考に修復。湧き水や砂など背景はすべて新調で、もとの幕から下絵を写し取って再現し、新調部分が目立たぬよう工夫した。この道18年の川﨑さんにもこれまで手がけた中で最大級の刺しゅう幕だったという。「大きくて苦労しましたが、故郷和歌山の貴重な文化遺産の修復に携わることができてうれしく思います。これからも伝統の技を後世に伝承することに努めたい」と話している。真新しく生まれ変わった水引幕は7月26日宵宮、27日本宮の粉河祭でお披露目される。
 川﨑さんは大阪のデザイン学校卒業後、淡路島の刺しゅう工房で15年間修行を積み、3年前に独立。現在、祭礼用太鼓台刺しゅう製作販売の紀繍乃(きしの)やを経営している。これまで日高地方の祭礼でも御坊祭下組、土生祭千津川の天幕など手掛けている。

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