茶川先生のこれからに期待

 直木賞と芥川賞の受賞作品が決まった。『昭和の犬』 で直木賞に選ばれた姫野カオルコさんは、「さっきまでジムで踊ってました」とジャージ姿で会見に登場。以前の「そろそろ風俗行こうかと思ってました」 「都知事閣下と都民のためにもらっといてやる」 に比べれば、マスコミ的にはちょっと期待外れか。
 一連の受賞会見をみても、ワイドショーがニュースを売らんがために、作家に尊大な態度や突飛なコメントを期待している場の空気が伝わる。それにのってか、反発からか、下ネタや生意気な言葉を口にするのも見ている分にはおもしろいが、テレビで流されると、やはり非常識との誹りを免れない。しかし、まぎれもない作家として才能があるからこそ、それも許されてしまう。
 「君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい」というのは、浅田次郎のエッセイだったか、嘘をつくことが作家の才能だとはよくいわれる。嘘つきは泥棒の始まりであり、作家の始まりということにもなるが、考察、推察、洞察の深さ、発想の広がりが才能であるとすれば、人と違う思考こそが小説家の生命線。非常識な言動は当たり前の話かもしれない。
 また、物語を創作する才能のうえに、コツコツ最後まで書き続ける力と、次から次へとわき出る発想量も必要。何よりも重要なのは、人からどんなにバカにされても書き続ける精神面のタフさではないか。親兄弟、親戚、友人から見放されながら、ある種、病的なまでに書き続ける、書かずにはいられない。そんな人だけに道が開かれている世界なのだろう。
 映画 『三丁目の夕日』 の茶川竜之介のように、あきらめず書き続けた結果の伝統ある文学賞。人に読ませる物語を書き続けられるかどうか、これからに期待。  (静)

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