日高町の反原発映画が完成

 日高町と徳島県阿南市であった、原発立地反対運動などをテーマにした長編ドキュメンタリー映画「シロウオ~原発立地を断念させた町~」が完成。年明けから公開される。東京電力福島第一原発事故を契機に映画づくりがスタート。原発が建設されなかった町の人々のいまの暮らしぶりにスポットを当てるなど、これまでと違った角度から原発問題を問いかける作品とし、日高町からは反原発運動に取り組んだ漁業者や元町長らが出演している。来春までに町内や周辺市町で上映会も計画していくという。
 映画は「原発立地を断念させた町」として日高町と阿南市にスポット。タイトル名は阿南市椿町の椿川に遡上(そじょう)し、春の訪れを告げる魚として知られる「シロウオ」からとった。ことし3月9日にクランクイン。5カ月ほどかけて両市町で撮影を進め、現地で暮らす人々のいまの姿や自然、インタビューなどを通じて今後の原発のあり方を問う。製作・脚本は環境問題ジャーナリストの矢間(やざま)秀次郎さん(73)=東京都小金井市=、監督はジャーナリストで写真家、福島の被災地や被災者への取材もしてきたという、かさこさん(本名・笠原崇寛、38歳、横浜市在住)。映画は105分。
 日高町では名物クエ料理にちなんでクエの解体の様子、ハモ漁、阿尾と小浦地内の原発立地候補地、反対運動を行った人らのインタビューなどを収録。「反対の立役者」として民宿波満の家を経営する濱一己さん(63)=方杭=、元教員の鈴木静枝さん(95)=小浦=、「原発に頼らない行政」を合言葉に町長を務めた志賀政憲さん(76)=志賀=らが登場し、反原発への思い、長年運動に取り組めた理由などが語られる。濱さん家族が自然の中で生き生きと暮らす様子も映し出される。
 製作・脚本の矢間さんは撮影中に日高地方を訪れ、「これまで福島を取り上げた作品は多いが、視点を変えて原発問題を取り上げたかった」と映画づくりの経緯を説明。作品については「かつて原発立地を巡る地域闘争で推進派、反対派がともに深い傷を負いながら『原発を止めた町』が日本列島に34カ所実在するという歴史に学び、南海トラフ3連動超巨大地震が憂慮される阿南市と日高町を舞台に、『本当の豊かさとは何か』『真の幸せとは何か』を住民とともに探求するドキュメンタリー映画です」と紹介していた。19日には日高町での試写会に参加し、「来春までに日高町や御坊市、田辺市などで上映会が開ければと思う。原発再稼働などの問題を考えるきっかけにしてもらえれば」などとも語った。
 日高町によると、原発問題は昭和42年7月、当時の町長が原発構想を表明、町議会が誘致を決議。昭和50年代、比井崎漁協の調査反対決議、関電の陸上調査(一部)開始などの動きを経て、平成2年9月に比井崎漁協理事会で組合長が「今後漁協としては原発問題に一切取り組まない」と表明。同月の町長選では「原発に頼らない町政」を旗印にした志賀氏が初当選し、立地計画が事実上、とん挫した。志賀町政継承の中善夫町長も反原発の立場を明確に表明。国は平成17年3月4日、原発開発促進重点地点の指定を解除した。今後、原発立地を進めるためには首長の同意が必要となり、反原発の町長が在任中は実質的に推進は不可能な状況となっている。
 「シロウオ」は一日基本料金5万円、席数×500円(上限10万円)で上映会を開くことができる。上映素材はブルーレイなど。詳しくは矢間さん℡042―381―7770。

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