上に立つ者が求められるもの

 遠隔操作で他人のパソコンの所有者になりすまし、殺人予告をしていた劇場型事件の真犯人がついに逮捕された。インターネットが登場して20年。その進化とともに生活が便利になる一方、ネットという不可触世界の中で毎日多くの犯罪が行われ、捜査の手法も後手に回りながら進化、多様化してきた。
 スポーツでは高校生の自殺をきっかけに、「指導者の体罰」が取り沙汰され、マスコミのヘビーローテーションが続いている。柔道女子日本代表監督の選手への暴行と暴言は、本人の辞任ではおさまらず、全柔連理事の辞任、会長の国際柔道連盟への謝罪と発展し、問題の根深さが浮き彫りとなった。
 組織やチームの指導者、責任者たる「えらいさん」は日々、どのように現場の状況を肌で感じているのか。人と人との信頼は暴力でなくとも、言葉や態度、不条理な人事で簡単に崩れ去る。その選手がチームにとって必要かどうかではなく、自分にとって必要かどうかという独裁の目に汚れてはいないか。
 上に立つ者は、同じ目標に向かって選手や部下と同じ現場にいれば、いやでも互いの問題点に気づくはず。それができないのは、現場にいても「いない」孤立状態にあると思われ、信頼関係がないため、下からの意見を力でねじ伏せることしかできない。全柔連の問題も監督だけでなく、そんな監督を放置してきた連盟のトップまで腐っているとみるべきだ。
 トップがメールもできないというのは、企業や組織にとって致命的な問題。虚実の被膜を行きかう海千山千はもちろん、真面目な業者にも出来心をノックしてしまいかねない。せめてITの言葉のアレルギーぐらいは克服し、聞く耳を持たねばならない。  (静)

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