県立医科大に究極の放射線がん治療器

 県立医科大学(板倉徹学長)に最新鋭の強度変調放射線治療装置「トモセラピー」が入り、年明けから患者への治療がスタートする。「リニアック」など従来の放射線機器では不可能な複数のビーム(放射線)の強さを腫瘍の大きさや場所に合わせて変えることができ、さらに回転することで最善の照射法を選択できるのが特徴。「究極の放射線装置」とも呼ばれ、首から上や腰より下のがん治療に威力を発揮すると期待されている。
 平成23年1年間の統計によると、全国の都道府県の人口10万人当たりのがん死亡者の数で、和歌山県は青森県に次いでワースト2位。がんの部位別では膀胱がん(全国ワースト2位)、肺がん(3位)、肝・胆管がん(4位)な
どが多く、肺がんについては男性の死亡者が全国で最も多くなっている。
 この現状から、県立医大は近年、とくにがん治療の環境整備に力を入れており、本年度は内視鏡を遠隔操作する手術ロボット「ダヴィンチ」を全国に先駆けて導入し、さらに今回、約6億円を投じて「トモセラピー」を関西の大
学では初めて導入。15日、報道向けの内覧会が開かれた。
 トモセラピーは体内の腫瘍に照射する多方向からのビームを、正常細胞を傷つけないよう、それぞれ強さを変えられるのが最大の特徴。リニアックなど従来の機器ではビームの強さが一定だったため、腫瘍の周りに危険な臓器や
神経、正常細胞がある場合、それらを傷つけないよう、腫瘍に当てるビームも弱める必要があった。しかし、このトモセラピーはビームの強さを1本ごとに変え、さらに回転することにより腫瘍だけを狙い撃ちするベストの照射法
を選択できるという。
 トモセラピーはコンピューター制御で立体的に腫瘍の場所や大きさ、さらに腫瘍の性質などを見極めて照射するため、治療にあたっては厳密な体の状態の管理が必要。放射線医学教室の佐藤守男教授によると、呼吸により動く肺
の下の部分や肝臓などの治療は苦手。また、画像等による十分な検証を経たうえでの治療開始となるため、一刻を争う骨転移や脊髄圧迫の緊急照射はできない。逆に、照射の際に動かない脳など頭頸部の腫瘍、腰より下の腫瘍に対
しては大きな効果が期待できるという。
 板倉学長は「和歌山県はこれだけがんで亡くなる方が多い現状にありながら、その原因は分かっていない。予防や治療を進めていくなか、私たちにできるのは治療。この高価な最新鋭機器を最大限に生かし、和歌山のがん死亡者
を減らせるよう努力していきたい」と話している。

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