由良の表具師羽山さんに文科大臣賞

 地域文化の振興に功績のあった個人、 団体をたたえる文部科学大臣表彰の本年度受賞者が決まり、 県内からは由良町里の表具師山直幸さん (81) ら2人が選ばれた。 山さんは、 戦後、 海南市の漆芸訓練所で漆芸や蒔絵の基本を学び、 同市内の蒔絵師河合藤一郎氏らの下で修行。 現在も全国の神社仏閣等からの貴重な文化財の修理・修復依頼があり、 近く、 東日本大震災で津波をかぶった東北3県の文化財修復にとりかかるという。
 昭和6年、由良町に生まれ、町内にあった陸軍省の航空機燃料製造工場で働いていた14歳のときに終戦を迎えた。17歳で海南市の海南漆芸公共補導所に入り、優秀な成績で1年で卒業したあと、黒江の蒔絵師河合藤一郎氏の下で蒔絵の伝統技法を学び、さらに和歌山市内の表具師内田義仲氏の内弟子となって厳しい修行を積んだ。昭和43年からは由良町の自宅で表具店を経営し、45年には国家資格の表具1級技能検定に合格。ほかにも表具工の職業訓練指導員資格を取得、日本技能推称協議会の優良技能経営者推称状などを受けている。
 経験と熟練の技が必要な襖や屏風の表具修理だけでなく、美術工芸品の保存修復や祭りの獅子頭の製作も数多く手がけ、町内の興国寺の「仏涅槃図」、念興寺(網代)の「親鸞上人画」、有田市の称名寺の「良如上人画」など神社仏閣の貴重な宝物を補修・修理。また、自身が若いころに由良祭で獅子を舞った経験から、「演じ手がより軽く舞いやすいものを」と獅子頭に改良を加え、これまで町内だけでなく県内各地から依頼を受けて製作してきた。
 表具師、蒔絵師としての高い技術を持つ人は全国的に少なくなっており、東日本大震災で津波被害を受けた文化財の補修・修理作業も近く始める予定。今回の受賞については「自分も知り合いの人もびっくりするような話です」と、照れくさそうに笑いながらも、仕事に関しては厳しいプロの目が光る。
 山さんは過去に由良町文化功労賞、県名匠表彰を受賞。表彰式は15日午後2時から東京の文部科学省で行われる。

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