世のため人のため時間と闘う男

 天皇、皇后両陛下がエリザベス女王の即位60周年を祝うため、英国を公式訪問されている。今月13日には仙台市で開かれた国際会議に出席、「仙台を訪問するとなれば、どうしても(東日本大震災の)被災者の方々を見舞いたい」という天皇陛下の強い意向で仮設住宅を訪ね、被災者を励まされたばかり。天皇陛下は2月の心臓バイパス手術から約3カ月がたつが、経過は順調のご様子で、国民としてうれしいかぎり。
 陛下の手術を執刀したのは、順天堂大心臓血管外科教授の天野篤教授。他の病院から紹介されてくる難しい患者ばかり、1年間に400件以上のオペをこなす。心臓を動かしたまま血管を縫い合わせる「オフポンプ手術」のスペシャリストで、その成功率は97%という驚異的な数字。手術後の会見の「普段通りの手術を普段通りにしたということで、結果もおのずとその通りになる」というセリフも、凡百の医師には口にできない。
 患者の命を救うために全身全霊を傾ける。それが医師の本分であるとはいえ、山崎豊子の『白い巨塔』のように、医師個人の嫉妬や欲望、策謀が渦巻き、学閥主義で足の引っ張り合うのが科学や医学の世界。3浪で日大医学部入学という天野医師のような雑草男が旧帝大のエリートを抑え、天皇陛下の執刀医に指名されたというのは、浪花節とかつお節が大好きな日本人にとってじつに気持ちのいい話。
 病院に泊り込み、寝食を忘れ難手術に挑み続ける天野医師。同様、研究に没頭するiPS細胞の山中教授もしかり、医師として、研究者として闘う相手は時間であり、その焦りとストレスだらけの毎日に欲などちらつく時間もないのだろう。       (静)

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