日本語の魅力再発見

 御坊ライオンズクラブ主催「日高地方子ども暗唱大会」を取材した。5時間半の長丁場だったが、工夫を凝らした発表に心惹かれ、予定を全部変更して最後まで鑑賞してしまった◆「枕草子」など古典文学、中島みゆきの歌の歌詞、歌舞伎のセリフ、友人の作った詩、日本国憲法前文と、目を見張る多彩さ。仕草も交えた表情豊かな暗唱が、言葉のイメージをふくらませてくれる。小学生の群読ではおなかの底から響かせる声がすがすがしくこだまし、その元気でまっすぐな声が真理を語るとそれだけで心動かされる。「茂吉のねこ」を全編聴けたのは懐かしかったし、今回初めて耳にして感銘を受けた詩等もあり、個人的にも収穫だった◆万事スピードが求められる今の世の中だが、言葉を本当に伝えるにはそれにふさわしいテンポがあると再認識。「雨ニモ負ケズ」はよく知っているつもりだったが、一語一語ゆっくり区切るような暗唱をきくと意味がより深く心に染み通り、宮沢賢治の凄さがいま初めて分かったような気さえした◆講評では子どもたちの力演を労ったうえで、「リズムなどを前面に出して合唱のようになると、かえって言葉の内容が後退する」と述べられていた。原則としてはその通りだと思うが、言葉とは本来、それ自体リズムを持つもの。「小諸なる古城のほとり、雲白く遊子悲しむ」など五七調の凛とした格調高さ、「月も朧に白魚の、かがりもかすむ春の空」など七五調のリズミカルな楽しさも、日本語の魅力のバリエーションの一つだ◆「美しい日本語の再発見」というテーマ通りの、大変意義深いひととき。目で活字を追うのとは一味違う、新鮮な文学体験だった。     (里)

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