観光客をどうもてなすか

 日高地方には多くの観光地が存在する。例を挙げると、日高川町の道成寺、みなべ町の梅林などは全国的にも有名だ。三美人湯として知られる龍神温泉もあるし、清流の日高川や自然豊かな海岸は大勢が訪れてにぎわいをみせている。しかしバブル期と比較すると、客数が減少傾向となっている場所もあるのではなかろうか▼観光地という訳ではないが、岐阜県揖斐川町で毎年開催されている「いびがわマラソン大会」には約1万人ものランナーが出場するという。住民の取り組みが成功して地域おこしにつながった例で、24年度に正進社から出版される中学校の道徳の教科書で取り組みが紹介されるという▼同町役場に電話で取材してみると、「大会のキーワードは『ランナーのもてなし』」と担当者が説明してくれた。具体的には▽できるだけ大勢の地元住民が沿道で応援するように呼びかけて盛り上げている▽宿泊施設が少ないため、ランナーが民泊できる体制を整えている▽ランナーから大会運営に協力している地元の小中学生らにメッセージを書いてもらい、受け取った子どもたちからはそのお返しとしてランナーに手紙を送っているなど。キーワードにふさわしいアイデアが随所に生かされ、その甲斐あって先月13日に開催された第24回大会では過去最高の1万1170人となったという▼昔はにぎわったがいまは廃れてしまったような観光地は、全国的にたくさんある。それは観光客の目線で物事を考えず、ただ単に客を呼び込むことだけに固執した結果だったのかもしれない。「観光客をどうもてなすか」。それが観光産業の生命線ともいえるのではなかろうか。   (雄)

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