災害から感じる日本人の美徳

 ことしは災害が多い年だ。3月の東日本大震災をはじめ、9月には県内でも台風12号で大きな被害を受けた。海外に目を向けても先月からタイで大洪水の被害が発生している。近年の異常気象のせいか、大規模な災害が多発する傾向にあるといわれている▼民間災害ボランティア団体、紀州梅の郷救助隊もことしは例年にないほど多く出動。東日本大震災関係では4回、台風12号では20回を超え、復旧支援活動に取り組んだ。被災者にとっては土砂の撤去だけでも気が遠くなるほど時間がかかる作業で、ボランティアの活動なくしては早期の復旧はあり得ない▼日本では互いに助け合うという心が根付いている。昔から「困った時はお互いさま」というように、協力し合って生活してきた。災害時にもその心が生かされ、全国各地からボランティアが集合。特に福島の原発事故では高齢者が決死の覚悟で作業に当たるという「福島原発暴発阻止行動隊」は、その最たるものだろう。中国では車にひかれた女児を助けようともせずに18人が通り過ぎたという出来事もあったが、日本人の美徳はまだまだ捨てたものではないと感じた▼司馬遼太郎は著書「二十一世紀を生きる君たちへ」でこう記している。「自然物としての人間は決して孤立して生きられるようにはつくられていない。このため、助け合うということが人間によって大きな道徳となっている。助け合うという気持ちや行動のもとのもとは、いたわりという感情である。他人の痛みを感じることと言ってもいい。優しさと言いかえてもいい」。日本にも日高地方にもそんな心の持ち主がたくさんいることを、度重なる災害から感じた。   (雄)

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