時の記念日に歴史を思う

 6月10日を「時の記念日」としたのは、天智天皇10年4月25日(西暦671年6月10日)に漏刻(水時計)で公式に時報が開始されたことに由来する。制定されたのは今から91年前の大正9年(1920年)。生活改善同盟会の提唱だった◆わずか15年間の大正年間。「大正デモクラシー」の言葉が示すように、政治的にも文化的にも自由主義が息吹きを見せた短い華やかな時代だが、時の記念日制定当時は第1次世界大戦後のインフレで暮らしが悪化していた。同会は生活向上を目指し、「時間を大切に」とキャンペーンを行ったという。明治維新からおよそ半世紀、欧米並みに生活の合理化をという意識があったようだ◆「時間を大切に」という言葉は「効率化」を目的とする。物事を能率よく行うことで時間が節約され、ゆとりが生まれる。そのゆとりの時間を自分の時間、家族との時間、友人や仲間との時間として大切にすることで、仕事等の目に見える成果だけでなく、心を豊かに富ませる。効率化は究極的にはその状態を目指しており、そうなってようやく「生活が向上した」といえる気がする◆「時の記念日」制定から3年後、大正12年9月1日に関東大震災が発生した。首都圏は壊滅状態となり、復興に膨大な時間とエネルギーを費やすこととなる。政府は帝都復興院を設置。後藤新平総裁が巨額の予算を使う思いきった復興計画を立てたが、当時の政党間の対立等によって、一部しか実現できなかった。不完全だった道路整備はのちにまで尾を引いたという◆歴史は、これまで積み重ねられてきた時間からの贈り物だ。それらから真摯に学ぶことも時間を大切にすることにつながる。これから先、真の「生活向上」を目指し積み重ねていく時間のためにも。   (里)

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