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体験から始める防災

2017年9月15日

 先日、みなべ町で開かれた県主催の避難所運営リーダー養成講座で、避難所の運営を疑似体験する避難所運営ゲームが行われた。図上訓練を通じて現場の混乱状態を擬似体験するという内容で、さまざまな避難者の配置を判断したり、対策本部からの指示や現場の要望にも対応しなければならない。ゲームでは傷病者、ペットを連れた夫婦、赤ちゃんがいる家族などが次々と訪れ、参加者の中には「ゲームといえども大変。終了するとほっとした」という声も聞かれた。 


 実際に大災害が発生すると、ゲームの混乱とは比較にならない。しかし、同じような状況を体験することこそが大切。講師を務めたADI災害研究所(大阪市)の伊永勉理事長(71)は「予期しないことが発生したり、考えた通りにいかなかったりすることに対する戸惑いや焦りが本番で役立つ」という。


 物事には理解していても行動に移せないことがたくさんある。災害と関わりが深い心肺蘇生もその1つだ。筆者の場合、応急手当講習は何度か取材したことがあるので大体の手順や方法は理解しているが、実際に講習を受けたことはなく、目の前で倒れている傷病者がいても瞬時に対応することはかなり難しい。しかし講習を受けていれば、そうした状況でもすぐに対応することが可能になる。 


 避難訓練でも、頭の中では「ただ目的地まで歩いて到達するだけ。それぐらいならいつでもできる」となってしまう。しかし、実際に体験することで新しい発見があるかもしれないし、経験しておけば万一の場合、行動に移しやすい。


 頭の中で理解していることと体で分かっていることは、まったく違う次元。防災はまず体験から始めてはいかがだろう。     (雄)



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