美浜町の煙樹ケ浜の松葉を使った堆肥(松葉堆肥)で作る松キュウリ、松トマトに続き、松イチゴの栽培がスタートした。昨年、脱サラで新規就農した町内の男性が、「少しでもまちのPRになれば」と松葉堆肥を使用。自宅裏の5棟のハウス内では昨年末から大きな実がつきはじめ、市場への出荷だけでなく近所の人への直売、小学生の収穫体験など、地域密着の農業が注目を集めている。
松イチゴを作っているのは、田井の「はないちご農園」を経営する田渕道人さん(38)。実家は米、キュウリ、ダイコンの農家で、高校を出て進んだ農業大学卒業後は印南町にあるゴルフ場にグリーンキーパーとして就職し、昨年まで14年間にわたりコースの芝生管理を任されていた。グリーンキーパーは早朝から夜まで仕事の時間が長く、2人の子どもと過ごす時間も少なかったため、「同じ植物を相手にきつい仕事をするなら、少しでも家族と一緒にいられる農業の方がいいかな」と新規就農を決意。農業大学で知り合った友人や地元の先輩農家の人に教わりながら、町内ではだれも作っていないイチゴ(まりひめ)の栽培にチャレンジした。
松葉堆肥については、松キュウリを作っている人や県の職員から「成分上問題がないし、品質がいいことは聞いていました」。少しでもふるさと美浜のPRになればと、アグリシートを使った和歌山方式の高設栽培で使用している。他の堆肥と比べてとくに問題はなく、ハウス内の生育も現在のところは順調。日高青果へ出荷しながら、形の悪いものなど一部は近所の人に直売しており、来月には小学生が収穫体験を予定している。
田渕さんは「イチゴは嫌いな人がまずいませんし、子どもたちは実を摘んで食べるのも楽しい果物。栽培を始めるにあたっては県外や地元の農家の先輩にもいろいろと教わり、そのおかげでいいものができました。来年以降も松葉堆肥は使うつもりです。地産地消と美浜のPRにつながればうれしいですね」と話している。