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よき師との出会いの意義
2010年8月26日
国内で最も権威ある書展の一つである読売書法展の審査結果が、このほど発表された。市内小松原で書道教室を開く千吉良淑子さんが読売新聞社賞を受賞した◆新書派協会創始者の近藤摂南氏に長く師事し、現在は同協会御坊支部長を務める。受賞後の取材で、昨年5月に87歳で他界した近藤氏の偉大さについて「超人ですね」と熱を込めて語った言葉が印象的だった。氏は、旧来の書壇のあり方に疑問を呈して新書派を旗揚げした人物。同協会常務理事、本紙に「弓庵つれづれ書画話」を連載する弓場龍溪さん(日高町)のアトリエには近藤氏の大作が掲げられており、弓場さんが「5、6回生まれ変わってもこの字は書けない」としみじみ述懐したことも思い出した◆千吉良さんに書との出会いを尋ねると、幼いころ近所のお姉さんと書道教室を訪ねた日を懐かしそうに振り返られた。優しかったその先生との出会いから、自然に書の世界に親しんでいったという。やがて書に本格的に打ち込み、自身も教えることになったのだから、いわばその一日がその後を決定づけたことになる◆日高地方にも多くの書道教室があり、取材で幾つか訪れる機会があるが、それぞれに個性を持った「和」の空気が醸し出されているようだ。和気あいあいとした中にも、向上心をもって一つのことに打ち込む「熱」が感じられる◆道を究めんとする人の心には、触れる人に感銘を与える何かがある。一つの道を一心に学ぶ時、その師の哲学や信念をも、知らず知らずのうちに空気のように呼吸するのだろう。人生におけるよき師との出会いの意義は大きい。それが時を経て、やがて学ぶ人の心に実を結ばせる。 (里) |
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