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さいわいさんのマンガ チベット亡命政府の教科書に

2010年7月24日
写真:ことし3月、英語版に続き発売された日本語版

  
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 印南町美里に住むマンガ家、さいわい徹さん(60)の最新刊、『マンガで読む偉人伝① ダライ・ラマ14世』が国内外で大きな反響を呼んでいる。わずか4歳でチベットの精神的指導者の座に就き、中国人民解放軍の侵攻と動乱のなか、ラサ脱出、インドへの亡命、新政府の樹立など、非暴力を貫きチベット人を率いる現代最高の仏教僧の生涯。英語版から日本語、ロシア語など各国で翻訳出版され、亡命政府チベット人学校の教科書にも採用された。


 大阪出身で11年前に美里へ移り住んできたさいわいさんは、歴史上の人物、地方の偉人を描いた伝記マンガを多く手がけ、16年前には滋賀県安曇川(あどがわ)町(現在は高島市)出身のチベット仏教研究者、青木文教(昭和36年死去・享年70)の伝記マンガを執筆した。このとき、さいわいさんは取材でチベットを訪ね、ラサの町や青木文教が滞在した寺院を訪問。『ダライ・ラマ14世』は世界に冠たる日本のマンガ文化で世界をよくしようと、各国の偉人伝記マンガを出版しているEMOTIONAL CONTENT社代表、清水ハン栄治さんによる発案で、当初は英語版をアメリカで出版するという企画だった。
 
 清水さんはこの企画のプロデューサーとして、インターネットで伝記ものの著作が多いさいわいさんを発見。直接会って口説かれたさいわいさんは、「チベットは青木文教の取材で行きましたが、ダライ・ラマ14世については正直、深くは知らなかったんです。でも、ダライ・ラマ13世と交流のあった青木文教を手がけた私に、再びチベットの企画を持ち込まれたことに何か因縁めいたものを感じました」。ダライ・ラマ14世自身が書いた自伝を基に、資料や写真を集め、関連文献を読みあさり、いろんな視点からダライ・ラマ14世の半生を立体的に構築。2年前の7月に英語版が出版され、アメリカでの反響を受けてことし3月には日本の大手マガジンハウスが日本語版を出版した。
 
 日本語版出版直前の2月には、インドのダラムサラにある亡命政府がさいわいさんと清水さんに対し、チベット語に翻訳のうえ、チベット人学校の教科書に採用したいと打診。日本語版もチベット語版も出す計画はなかったが、チベット語、日本語に続き、5月にはロシア語版も出版され、国内書店ではマンガコーナーではなく、文芸書扱いで、ベストセラーランキングも上昇しているという。
 
 チベット人の心のよりどころとして、また、世界中の知識人や芸術家に尊敬されるダライ・ラマ14世。さいわいさんは「幼くして一国のリーダーとなり、他国の侵略のなかで非暴力を貫き、誤った方向に民衆を導かない指導力に感動しました。もしダライ・ラマ14世が心の狭い宗教家で、暴力的なリーダーなら、私にはかけなかったかもしれません」。亡命政府の教科書に採用されたことについては、「事実と違うことをかいていたり、攻撃的な内容であれば、子どもたちの教科書にはならなかったはず。そういう意味で、内容に誤りがなく、心の温かみのある本としてチベットの皆さんに認められたということが、 うれしいというよりホッとしました」と話している。
 
 『マンガで読む偉人伝① ダライ・ラマ14世』(マガジンハウス社)は定価1155円(税込み)、全国の書店、インターネットで発売中。


 ダライ・ラマ14世 ダライ・ラマ13世の生まれ変わりとして発見され、4歳で即位。側近の失脚、中国による弾圧と懐柔、自身の暗殺計画などに対し、一貫した非暴力で問題解決に努め、1989年にノーベル平和賞を受賞。2008年「タイム」誌の「世界で最も影響力のある100人」の1位に選ばれた。3年前に行われたアメリカ合衆国議会黄金勲章授章式のスピーチで、「チベット自治区は中華人民共和国の一部であり、あくまでも高度な自治を求めているのであってチベット独立の考えはない」と表明した。75歳。

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