高野山や熊野古道などの 「紀伊山地の霊場と参詣道」 がユネスコ世界遺産の登録を受けて5年が過ぎ、 県は和歌山市から田辺市にかけての紀伊路などに残る王子社や峠を将来の世界遺産追加指定につなげるプロジェクトをスタートさせた。 日高地方では広川町から日高町にかけての鹿ケ瀬峠 (ししがせとうげ) や日高川町の道成寺、 市内の塩屋王子神社などが候補として調査が始まっている。
豊かな自然と歴史、 文化が魅力の和歌山県は文化財の宝庫。 現在、 重要文化財は383件 (全国7位)、 国宝は36件 (6位) あり、 平成16年7月には和歌山、 奈良、 三重の3県にまたがる紀伊山地の霊場と参詣道が日本で12番目のユネスコ世界遺産 (文化遺産) に登録された。 以来、 高野山や熊野古道を中心に県内への観光客、 とくに海外からのツアー客が増加。 近年はその勢いも少し下降気味だったが、 その場に立つと気力がわくという 「パワースポット」 ブームで人気回復の兆しをみせつつある。
県は史跡や埋蔵文化財、 民俗文化財のほか、 世界遺産の保護にも当たっている文化遺産課が中心となって、 本年度から県内文化財の世界遺産追加登録プロジェクトを始動。 和歌山市から田辺市にかけての紀伊路、 大辺路のうちすさみ町から那智勝浦町まで、 高野町の女人道などとそこに関連する文化財は世界遺産に含まれておらず、 これらをあらためて調査のうえ、 県指定から国指定の文化財へと格上げし、 将来の世界遺産追加登録につなげることを目標としている。
日高地方では熊野古道の石畳が残る広川町と日高町の境界の鹿ケ瀬峠 (日高町指定史跡)、 本堂や仁王門が重要文化財の日高川町の道成寺、 「美人王子」 として知られる市内塩屋町の塩屋王子神社 (境内が県指定史跡) などが候補に挙げられており、 県と各市町が合同で古文書等の史料と照らし合わせながら県指定の要件を満たしているか、 国指定は可能かどうかを調査。 市内ではほかに湯川町富安の善童子王子 (ぜんどうじおうじ) など数カ所の九十九王子も調査している。
仁坂吉伸知事は 「和歌山にはまだ世界遺産に登録されて当然という文化財や史跡がいくつもある。 この11月には国指定重要無形民俗文化財の 『那智の田楽』 がいよいよユネスコ無形文化遺産に登録される見通しとなっており、 その他のものも時間はかかるが、 国指定文化財から世界遺産へとチャレンジしていきたい」 と話している。