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続作家からみる和歌山県

2010年3月21日

 前回の本欄で、和歌山市出身の作家有吉佐和子の著書「女二人のニューギニア」(朝日新聞社)に登場する文化人類学者、紀南出身の畑中幸子さんのことを書いたところ、それを読んだ白浜出身の母が「畑中さんなら知っている。同じ電車で田辺の高等女学校へ通っていた」という◆すぐには信じられず、同姓同名の別人と勘違いしているのではと思ったが、いろいろきくと確かに同じ人物らしい。「畑中さんは1学年上で話をしたことはなかったが、同じ車両に乗ることも多く顔はよく覚えている」と。当時から大層頭がいい人と評判で、卒業してから偉い学者になって外国で研究しているときいたことがあるそうだ◆有吉佐和子の数少ない小説以外の著書である本書。徒歩以外に交通手段がなく一度足を踏み入れると滅多なことでは帰れない1960年代のニューギニア奥地で、通訳もなしにただ一人現地人の集落に飛び込む畑中さんの姿は、豪快で胆力と生命力にあふれた紀南人として描かれる。もう十数年も前の愛読書だが、まさかその登場人物が自分の母親と同じ電車で学校に通っていたとは思いもよらなかった◆和歌山県がテーマの著作を多く残した有吉佐和子には、現在入手するのは難しいが「日高川」という作もある(御坊商工、現紀央館高校の図書館で借りて読んだことがある)。絵本「かみながひめ」も手がけている。県出身の作家以外にも、道成寺や龍神村(現在は田辺市だが)など当地方の登場する文学作品は探せば意外にたくさんあるようだ。身近な事象も、文学というフィルターを通すと新鮮に見える。自分に縁のあることが書かれることで、その著者への親しみも生まれる。文学における日高地方再発見の旅に出てみたい気がしている。   (里)

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