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作家からみる和歌山県
2010年3月 9日
毎月、御坊・美浜の図書館新刊から各1冊を選んで紙上で紹介しているが、1月からは本県出身の作家の著作も加えた。作家から改めて「和歌山県」を知りたいとの個人的な思いもあったのだが、実際読むと予想以上の収穫だった◆本格的に読むのは初めての辻原登(印南町出身)、神坂次郎(和歌山市出身)。いずれももっと早く読むべきだったと思わせるボリュームと読み応え。有吉佐和子(和歌山市出身)は以前から好きで著作は可能な限り集めたつもりだったが、それでも図書館では未読の作品に出会える◆ミカンの実の中の一袋を縦に置いたように南北に長い本県。北と南では県民性が違うとよくいわれる。有吉佐和子に「女二人のニューギニア」という異色の紀行文があるが、ニューギニアの奥地で数カ月共に暮らしたたくましい文化人類学者畑中幸子女史について著者は「畑中さんと私は同郷といえば同郷なのだが、私は紀北、彼女は紀南で、県民性という点ではほとんど共通点はない」とあっさり述べる◆「出身県でわかる人の性格」(岩中祥史著、草思社)によると「紀北は徳川由来の勤倹貯蓄、紀南は素朴で情熱的」。紀伊徳川家の勤倹貯蓄を奨励する家風が紀北には行き渡っているが、紀南にはそれはなく豪快な気質で大らか、義理人情に厚いそうだ。当地方は地理的には「和歌山県北部」に属するが、文化的には紀南に入る◆県民性一つとっても一筋縄ではいかない和歌山県。これまで読んだ紀北の作家の作品に勤倹貯蓄の気風がみられるかというとそんな単純なことはないが、紀南の作家と比較することで何か見えるものもあるかもしれない。これから紀南出身の中上健次や佐藤春夫も読み進む。どんな新たな「和歌山」の側面が見えるか、楽しみである。 (里) |
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