日高川町と県森林組合連合会が取り組んでいる木質パウダーによるバイオマスエネルギーシステム事業で、 3月から町内の温泉施設2カ所で運用をスタートさせる。 林地残材や樹皮などを原材料に木質パウダー燃料を製造、 温泉施設のボイラーで燃焼するシステムで、 木質パウダーを燃料としたものは全国で初めて。 基幹産業である林業振興をはじめ、 安定価格の原材料供給、 地球温暖化防止などメリットも多く、 県内外から注目を集めそう。
日高川流域で発生する未利用の木質バイオマスを地域内で利活用するという地産地消のシステムを構築した。3月から運用するのは町の財団法人、ふるさと振興公社が管理、運営する初湯川の愛徳荘本館・別館と高津尾のきのくに中津荘。まず町内で出た林地残材や未利用の間伐材を市内塩屋の県森連御坊共販所が買い取り、専用の機械などで粉砕。約30ミクロンの細かな木質パウダー燃料を年間500㌧製造し、町へ販売。温泉施設に取り付けた専用のボイラーでパウダー燃料を燃やし、湯を温める仕組み。これまで放置していた間伐材や林地残材を有効利用することから林業振興を図る取り組みとして期待されており、事業費はボイラー、パウダー製造機などで約9000万円。
ペレット、 チップなど同様のバイオマス事業は全国各地でも取り組まれているが、 パウダー燃料を利用したものは初めて。熱効率は1㌔当たり4500㌔㌍で、1900㌔㌍のチップ、4000㌔㌍のペレットよりも上。気になるコストの方も、製造過程で乾燥などの工程が省けることからペレットなどよりも安く、1㌔当たり40円で価格を設定。ただ原油と比べると熱効率が2分の1となるため、 原油価格が80円を下回った場合はコスト高になってしまうが、おととし8月のような価格高騰(重油、灯油とも130円台)など原油相場の変動に左右されることなく安定価格で原材料を供給できるメリットがあり、今後価格も木材の搬出方法や運搬距離の短縮などやり方次第では40円以下に抑えることも可能だという。さらに地球温暖化対策への貢献度も大きく、重油の愛徳荘で年間86㌧、灯油の中津荘で61㌧、 計147㌧の二酸化炭素を削減。国内クレジット制度による企業との二酸化炭素排出権取引で利益まで見込める。来年度には高津尾の温泉館 「鳴滝」でも運用を開始することにしており、 全国に先駆けたバイオマス先進地として注目されそう。