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語り継ぐことは体験者の使命

2010年2月14日

 記者になってから丸2年間、美浜町を担当していたとき、行政や議会のことをいろいろ勉強させてもらった人生の大先輩に先日、数年ぶりに出会った。米寿に手が届こうかという年齢を感じさせない熱さと達者な口は健在で、身内が元気でいるような、うれしい気持ちになった。いくら年を重ねても、気持ちの持ちようで若くいられるもんだと、また一つ勉強にもなった。

 1時間余り、いまの政治や自身が体験してきた戦争の話など聞かせてもらった。経験に裏打ちされた言葉は非常に重く、心に伝わるもの。取材でもなんでもない、世間話の延長でも熱っぽく語る姿は情熱の塊のようである。中でも昭和21年、日高地方でも大きな被害を出した南海地震の体験談は興味深かった。

 氏いわく、職場があった田辺市の文里港内で、経験したことのない揺れを体験したという。誰かが津波だと叫んでくれたおかげで全力疾走したことや、襲いかかる波に足をすくわれそうになりながら高台に避難したことを、きのうのことのように話してくれた。聞いていて、当時の様子が少しイメージできた。
 
 いま、日高地方でも中学生や高校生の職業体験、小学生も講師を招いて働くこととはどういうことかを勉強する機会が増えている。その延長というわけではないが、児童生徒が戦争や地震を体験したお年寄りの家を訪問して、少人数でひざを突き合わせて話に耳を傾けるという授業や取り組みがあってもいいのではないか。当時二十歳前後だった人はいま80歳を超えている。次の世代へ語り継いでいくことは、体験者世代の使命であろう。子どもたちの心にも必ず残るものがあると思う。     (片)

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