|
|
||
トップページ >
日高春秋>
花のようにそっと優しく
2010年2月 6日
生け花は仏教伝来による「供花」に由来していると言われ、日本では古くから親しまれている伝統文化の一つである。いまはもうそんな時代ではないが、少し前までは女性が結婚するまでに習う花嫁修業ともされていた。と、知ったように言いながら実はその方面はあまり得意ではない。いざというときに恥ずかしくないように、一度きちんと教わるべきだと思っているのだが、実現しないままいまに至る。 先日、いけばな体験教室に取材でおじゃました。親子で一緒に基本を楽しく習う教室で、終始和やかな雰囲気。その中で講師の方が「花びらがあるものだけが花じゃない。葉も花器も生け花で使うものすべてが花だと思ってください」と話していた。はさみでさえも「花」だという。つまり、花に触れるときのようにすべてに対してそっと優しく丁寧に扱いましょうということだ。意識するだけで心は自然と落ち着き、仕草がやわらかくなり、動作が美しくなる。さらに出来上がった花が美しければ心も満たされるのだろう。なるほど、花嫁修業とされていた理由がわかった気がした。「花を生ける」という技術そのもの以上に、目に見えない「心」を身につけることが大人の女性に必要であるとして重んじられてきたのだろう。 堅苦しい、古臭い、生活に不必要などと若者の生け花離れはずいぶん進んでいるようだが、日本で昔から大切にされてきた「心の美」が忘れられていくようで残念に感じる。筆者もまだ独身女性、生け花を習う余裕はいまないので、せめて「花と思う心」を意識してみようと思う。急いでいるときについ乱暴になりがちなドアの開閉や受話器の置き方、パソコンの扱いなど、振り返ってみると反省点は結構ある。花のように、そっと優しく。まだ間に合うはずである。 (と) |
|
|