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寒行の境地味わいたい

2010年2月 4日

 南無阿弥陀仏―。日高川町玄子、浄土宗法性円通寺の豊嶋英雄住職の寒行。28年目を迎えたことしも寒の入りの1月5日からスタートし、2月2日まで29日間、厳しい寒さの中、雨や雪の夜も休むことなく川辺地区を回った。寒の入りが何年かに1度の割合で6日の年もあるためはっきりとは分からないが、先月下旬には800回を突破した。
 
 筆者が取材したのはことしで2回目。母方の実家が円通寺の檀家で豊嶋住職とは以前から知り合いで寒行の取材には熱が入る一方、心の中でエールを送っている。網代笠に墨染めの衣、手には手甲、足には脚絆(きゃはん)というスタイルで、ひたすら「南無阿弥陀仏」を唱えながら3~4時間ほど巡る。網代笠の上に5㌢以上の雪が積もる夜もあるなど、その名の通り凍てつくような寒さの中の厳しい修行。取材の際、筆者は凍える手をこすりながらシャッターを切るなどあまりの寒さに体は限界を感じていたが、檀家は豊嶋住職が家の前を通るのを待ち、檀家以外の町民も手を合わせ、「頑張って」「くれぐれも体に気をつけて」と声をかける。そんなやりとりに心の方はとても温かくなる。
 
 寒行は、家庭の事情から外ではなく、地坊主をしながらの修行を考えたことがきっかけ。最初のころは、あまりの厳しさに寒行の期間が早く終わることを願ったというが、いまでは「終わりが近づくにつれ、まだやっていたいと思ってしまう」と笑う。寒行の間は心身ともに洗練され、満たされているのだという。厳しく辛いことが心地よさに変わり、名残惜しいとさえ思う境地。自分に甘い筆者は、取材を通してことしも爪の垢を煎じて飲まねばと思い知らされた。目標の1000回到達は7年後。    (昌)

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