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自ら野山に深くまじりて

2009年11月26日

 今月から新企画のページをスタートさせた。 テーマは「くらしと健康」。日々の生活に関する話題は守備範囲が広く、たとえば「健康」というキーワードにも 「メタボリック」「インフルエンザ」などさまざまなタグがあり、連載の1発目のテーマには「認知症」を取り上げた。取材を進めながら、実態はやはり予想通りの苛酷さであり、無知でやわなイメージなどことごとく蹴散らされ、その緊張感の中でふと、かぐや姫の話を思い出した。

 開き直るわけではなく、米一粒作れず、釘一本打てない記者など所詮、なんの専門知識も技術もない素人。事実をほんの一瞬、見聞きし、「分かった」つもりになるだけなのだが、連載の取材ではその素人が人の気持ちの部分に深く踏み込む。強引さと慎重さを持って、暗い籔の中を歩き回っているうち、思いがけず根元が光り輝く竹を見つけることがあり、それを傷つけず壊さないように切り出し、形をととのえ、世に出す。記者とはまさに竹取の翁である。

 まずはどの野山に入るかを考え、あらゆるルートから宝の入り口を目指し、さらに慎重に奥深く進んでいく。分かれ道をいくつも歩いているうち、道に迷い、自分は何をさがしているのか分からなくなってくる。宝は常に光っているとは限らず、足元にあるのに気づかず見過ごしていることもある。また、せっかく掘り出したダイヤの原石も、磨いて100%の輝きを引き出せるか、ただの石ころに終わらせるかは、技とセンス、なによりも「やる気」しだいである。

 だれも登らない小さな山にも、分け入ってみれば光る竹はきっと見つかる。常に新しい山を求め、自ら「登ろう」という気持ちがなければ記者はできない。     (静)

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