日本舞踊花柳流、宝扇会の発表会が11日、市民文化会館大ホールで開かれ、舞踊ファン約500人が本格的な古典舞踊の公演を楽しんだ。ふだんは東京や大阪でしか演じられない大作もあり、地元の名取が名作の『京鹿子娘道成寺』や『櫓のお七』を熱演。美浜町浜ノ瀬の花柳枝芽(しが)さんは『櫓のお七』で浄瑠璃の動きを模した人形振りを舞い、クライマックスの半鐘を打ち鳴らす名場面が客席を魅了した。
宝扇会は、大阪の花柳勲麿さんの弟子の枝芽さん、妃鶴さん(美浜町和田)、汐香音さん(日高町小中)の名取3人が中心となり、今回は「いつか地元で公演を」という日高地方の花柳流関係者の三十数年来の願いを実現。舞台は師匠の勲麿さんらによる御祝儀曲『君ケ代松竹梅』で幕を開け、妃鶴さんの弟子で3歳の澤越歩恋ちゃん、小学6年生の脇坂成奈ちゃんがそれぞれ『菊づくし』『紺屋のおろく』でドキドキの初舞台を見事に演じきり、大きな拍手が送られた。
美浜町和田出身で大阪在住の花柳女雛さんは長唄の大作『春興鏡獅子』に挑み、白いたてがみを振り乱して狂う獅子の精を熱演。足を踏み鳴らして力強く、約1時間にわたって舞い踊った。妃鶴さんの『京鹿子娘道成寺』の前には特別ゲストとして、道成寺の小野俊成副住職が登場し、「このふるさと御坊日高で、道成寺ものの日本舞踊を鑑賞できるのはうれしい限り」とあいさつ。妃鶴さんは公演前に同寺で成功祈願を行い、二代目鐘供養の場に現れ、舞いながら鐘に近づき、鐘とともに消え去る清姫の怨霊、白拍子花子を華麗に演じた。
汐香音さんは江戸時代に流行したしゃぼん玉売りの清元『玉屋』を舞い、痴話げんかをする遊女と男、投げ節、おどけ節をコミカルに披露。圧巻は枝芽さんの義太夫『櫓のお七』で、勲麿師匠が浄瑠璃の人形遣い、枝芽さんは人形のお七となって操られるような動きをみせ、雪の夜に切腹を命じられた恋人を救おうと、火の見櫓に上って半鐘を乱打する場面が感動を誘った。