地球一番快適音楽といわれるギターデュオのゴンチチ。大阪出身の2人の芸歴は30年以上になり、 夏場は野外でもライブを行い、他の超一流プレーヤーとのステージも人気がある。常に険しい表情でメロディーを弾くゴンザレス三上に対し、いつも半笑いで気持ちよさそうにコードを刻むチチ松村。漫才でいうなら三上がボケで、チチがツッコミ。ライブの定番 『MY FAVORITE THINGS』 は音のかけあいが鬼気迫り、 地球一番の呼び名にふさわしい、えもいわれぬグルーヴを味わわせてくれる。
グルーヴとは 「波」や「うねり」という言葉で表現される音楽用語で、具体的な定義はないが、ある種の高揚感を指す。忙しい大人が高いチケットを買い求め、仕事を休んでまで足を運ぶライブはこのグルーヴの快感があるからで、ジェネシスで有名になったバリライトの照明や大音響のリズムで集団は催眠状態に陥る。この原理を悪用したのがSF商法や自己啓発セミナーで、人間は集団で暗い場所に押し込められ、 一定のリズムと光のまたたきで簡単におかしくなってしまうのである。
一流の演奏、人間が生でぶつかり心地よい音を生み出すライブ。これは音楽だけに限らず、 漫才や落語もそうで、どれもテレビやCDでも十分おもしろいが、演者と時間と空間を共有するライブはその何倍も楽しい。
本紙日曜付の 「それいけ キッズ共和国」、2週連続で子どもたちの「おはなしの会」を取材させてもらった。舞台はシンプルでも、語り手とチビッコの一体感は小さな寄席であり、鬼が退治される物語のクライマックス、その興奮はライブならではのグルーヴにちがいない。 (静)